生産面での対応も考えられる。「アメリカにお客様がたくさんいる。短期的には仕向けの調整のようなことをしながら対応していくことも考え、中長期的には現地のお客様に適した商品を現地で開発して現地で生産していく形をしっかりとっていく」(佐藤社長)と、アメリカでの生産拡大による関税回避も視野に入れる。
実際、アメリカでは南部のウェストバージニア工場にHV用部品の生産ラインを8800万ドル(127億円)投じて設置するなど能力増強の動きも見せている。
そもそも関税影響が1兆円程度利益を押し下げたとしても営業利益は3兆円規模で、営業利益率は6%強となる。トランプ関税や円安一服といった事業環境の厳しさ、他社の状況を考えれば、むしろ際立つのはトヨタの強さだ。
「関税の影響については今の足元の収益状況、われわれの事業構造からすればジタバタしなきゃいけない状況にはない」といった宮崎副社長の発言からも、トヨタが現在の収益力に自信を持っていることがうかがえる。

1台当たり限界利益は4年間で1.6倍に
終わった決算にも強さは表れている。2025年3月期は売上高に当たる営業収益が前年同期比6.5%増の48兆0367億円、営業利益は過去最高だった前期から10.4%減の4兆7955億円だった。
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