大学「体育会系」の課題、学業・就活との両立や引退後の進路は?指導者の理解も不可欠 タフさや上下関係だけじゃない強みをアピール
「とある学生は、大学のバレー部でアナリストとして活躍しつつ、学生主体の大学スポーツの広報活動チーム『UNIVAS STUDENT LOUNGE』(UNIVAS主催)でも精力的に活動していました。就活ではこれらの経験が高く評価され、内定につながったそうです。また、大学バスケットボールを運営する団体『全日本大学バスケットボール連盟』で渉外部を担当していた学生が、この経験を活かして、『(公財)日本バスケットボール協会』に就職して活躍している例もあります」
指導者は、学生の多様な進路選択に寄り添う理解者に
では、こうした運動部学生を指導する監督やコーチには、どのような姿勢が求められるのだろう。山田氏は、「学生を第一に考えた指導をお願いしたい」と語る。

(画像はUNIVAS提供)
「昨今ではコンプライアンスの観点もあり、暴言や暴力に頼ったり、部活動への参加を強制したり……といった指導者は以前と比べて減少しています。大学側も、部活動に積極的に関与し、管理体制を整え始めるところが増えました。とはいえ、指導者の立場からすれば、部活動でよい成績を収めることも求められているため、『もっと練習してほしい』『学業より部活動を優先してほしい』とつい指導が過熱してしまうというジレンマもあります」
しかし現実として、部活動を最優先したとしても望む結果が得られるとは限らず、部員の中には入部当初から「プロは目指さず、スポーツは大学まで」と決めている学生も多い。
「大学生ではフィジカル面も成熟してきて、ある程度自分の“ピーク”が見えてきます。自分がプロ選手として通用するのか、将来にわたってプロの世界でキャリアを築けるのか、シビアに捉えて判断する学生がほとんどです。指導者には、学生個々人の希望をくみ取って、それぞれどのように部活動に取り組むのがよいか、一人ひとりに寄り添って考えてほしいと思っています」
後編では、実際にスポーツ競技者やマネージャーとして部活動に打ち込んできた学生3名へのインタビューを実施。部活動と学業の両立や、卒業後のキャリア選択、指導者や企業側に望む配慮などをヒアリングする。そこから、運動部学生を取り巻く環境の課題や改善の可能性について、さらに考えてみたい。
(文:藤堂真衣、注記のない写真:KANJI / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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