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91年クーデターでKGBが動かなかった理由を聞く/佐藤優の情報術、91年ソ連クーデター事件簿102

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ロシア共産党第2書記だったイリイン氏とKGB(ソ連国家保安委員会)の関係について、筆者は好奇心を抑えられなくなった。

──KGBについて伺いたいことがあります。

「いいよ。何でも聞いてくれ」

ロシアの生活とKGB

──KGBは、エリツィン・ロシア大統領の動静を観察していたはずです。

「もちろんだ。24時間体制で監視している。エリツィンの補佐官や別荘の使用人にもKGBの協力者がいるはずだ。KGBが監視しているのはエリツィンだけじゃない。私やクプツォフ・ロシア共産党第1書記のことも監視している。電話だって盗聴されている」

──レオーノフ補佐官もKGBの協力者なんでしょうか。

「その可能性も排除されない。この国で(ソ連共産党)中央委員以上のノメンクラトゥーラ(特権階層)に属する人はすべて監視の対象になる。それ自体は別に悪いことではない」

──どういうことでしょうか。

「監視されていることが、不正に対する抑止になる。中央委員以上になるとさまざまな利権がある。もちろんこの住宅だって、私が中央委員になったので割り当てられた。その意味で、私だって特権を利用している」

──イリインさんは能力も高いし、国家と国民のために十分奉仕しています。地位に見合った住宅を割り当てられるのは当然と思います。

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