「メシが食える大人」を育てる花まる学習会代表、公教育支援で感じたこの国の課題 「フリースクール」開校で不登校の子ども殺到
当初24人だった児童数は3年間で100人を超えて現在はキャンセル待ちの状態で、フリースクールのニーズの高まりを高濱氏は実感しているという。

(写真:花まるエレメンタリースクール提供)
「現状のフリースクールは居場所づくりに重点を置くところも多いですが、ゲームをやっているだけでは将来の自立にはつながりません。やりたいことを見つけた時にその道に進めるようにするためにも、基礎学力の習得は必須です。学ぶ環境に責任を持つフリースクールを全国に増やし、将来的には公教育を補完する選択肢の1つとして認められるようになるのが理想的だと思います」
高濱氏は「不登校を選択する子どもたちの中には、才能があるがゆえに学校の授業をつまらなく感じてしまういわゆる『吹きこぼれ』の子も少なくない」と指摘する。
「うちのフリースクールには将棋やレスリングの日本一や大手塾の全国模試で1位を取った子なども在籍していますが、そのような才能を持ち合わせている子どもたちには、自分が興味のある分野にとことん打ち込める環境を用意することが重要です。そこでこの4月からは、姉妹校として音楽活動に重点的に取り組めるスクールを開校しました。今後は教科学習の力を伸ばすことに特化したスクールなど、子どもが伸ばしたい力を伸ばせるフリースクールの開校も予定しています」
知識を身に付けるだけではAIに勝てない時代になりつつある昨今。だからこそ、「自分の興味のあるテーマを掘り下げて、それについて熱く語れる人はモテる人になり、その成果を生かしてメシを食っていくこともできる」と高濱氏は言う。公教育においても、「探究学習の重要性はますます増していくだろう」との見解を示す。
「台形の面積の求め方を1時間かけて考えさせるよりも、同じ1時間を探究学習に充てたほうが子どもたちの得るものは大きいように思います。現在は小学生の探究力のレベルも高くなってきていて、気になることを徹底的に調べて発表する『博士力』はこれからの時代を生きるうえで非常に重要な力だと言えるでしょう。学習指導要領においても、基礎学習の時間を整理して探究学習の時間を増やすなど、これからの時代にどのような人間が求められるのかを踏まえた抜本的な見直しが必要になってきているのではないでしょうか」

花まる学習会代表
東京大学大学院農学系研究科修士課程修了。大学在学中より塾講師などのアルバイトを経験し、1993年に「メシが食える大人に育てる」という理念の下、作文・読書・思考力・野外体験を主軸に据えた学習塾「花まる学習会」を設立。1995年には進学塾「スクールFC」を設立。長野県青木村や北相木村、佐賀県武雄市などで、花まる学習会のメソッドを活用した公教育支援にも取り組む
(文:安永美穂、注記のない写真:花まる学習会提供)
東洋経済education × ICT編集部
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