人口の約10%、学校でどう教える?教科書でも言及増える性の多様性「LGBTQ+」教育 児童生徒に打ち明けられたら…教員の心構え
「小野さんは、講演会でご自身の経験も話されます。子どもの頃からの人生を振り返る話は、生徒たちに身近に感じられるようです。また、小野さんは、性別を強調するのではなく、さまざまな側面を持つ自分の中の1つの要素として触れてくださいます。生徒たちは小野さんの話を自然に、そして真剣に受け止めており、講演後は『身近な人の話をもっと聞こうと思いました』『自分がもし友達からカミングアウト受けたら、しっかり受け止められる人になりたいです』などの感想が寄せられました」
このような取り組みを行ううち、教員の働きかけや生徒の提案などにより、合唱コンクールで男女別に歌うのではなく、歌いたいパートを自由に選べるようになったり、生徒会選挙で男女1名ずつという候補者枠を撤廃し、性別に関係なく立候補できるようになったりなど、性別にかかわらず誰もが過ごしやすい学校づくりが進んでいる。
「養護教諭として、学校で性別にとらわれない環境づくりを提案するのは、なかなか難しいと感じることもあります。しかし幸いなことに、私の学校には理解のある管理職や先生方が多く、多様性を尊重する学校づくりを進めることができています。
この学校での研修や学びを通して出会った先生方が、他の学校に移られても、そこで何か違和感を感じたら『自分にできることはないか』と考え実際に行動し、現状を変えてくださっています。それが本当に嬉しく、心の支えになっています」
すべての子どもたちが安心して学び、成長できる社会へ
2023年1月、「NPO法人プライドハウス東京」が発足した。「プライドハウス東京」は、LGBTQ+に関する理解を進める活動および、性的指向・性自認・性別表現等を問わずすべての人が安心・安全に過ごせる環境づくりに向けた活動を行うプロジェクトだ。

(写真:Proud Futures提供)
カフェスペースやライブラリーなどを備えた大型総合LGBTQ+センター「プライドハウス東京レガシー」(東京都新宿区)を構え、団体・専門家、企業、アスリートやスポーツ関係者などがセクターを超え「プライドハウス東京コンソーシアム」として連携している。
「Proud Futrures」も本コンソーシアムにジョインし、相談事業等に携わっている。
自殺におけるハイリスク層であるLGBTQ+コミュニティへの厚生労働省による「自殺防止対策事業」の一環として、小野氏は「LGBTQ+にフォーカスをあてた対人援助のための自殺対策講座:LGBTQ+とSOGIEの基礎」、向坂氏は「LGBTQ+コミュニティが面する危険因子と防御因子」の講師を担当。これらはYouTubeで視聴できる。
研修やコンサルテーション等を通じて、教育現場におけるLGBTQ+の子ども・若者への理解を深め、同様の志を持つ団体とつながりインクルーシブな環境づくりを支援する「Proud Futrures」。
性の多様性を尊重する教育は、すべての子どもたちが安心して学び、成長できる社会への礎となる。「Proud Futures」の活動は、その実現に向けた推進力の1つとなるだろう。
(注記のない写真:siro46 / PIXTA)
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