人口の約10%、学校でどう教える?教科書でも言及増える性の多様性「LGBTQ+」教育 児童生徒に打ち明けられたら…教員の心構え
小学校の先生を目指して大学に進学し、在学中にLGBTQ+に関するサークル活動や講演会を通して啓発活動や居場所作りを始めました。2012年、24歳以下のLGBTQ+の子ども・若者サポートに取り組む任意団体『FRENS』(フレンズ)を設立しつつ、小学校教員として3年勤めたあとLGBTQ+に関する活動に特化しました。
その後、当時アメリカのボストンで活動していた心理支援職の向坂さんと出会い、研修などの交流をきっかけに『Proud Futures』を2020年に設立し、活動を広げています」
一方、向坂あかね氏は、高校卒業まで日本で暮らした後、渡米した。

NPO法人 Proud Futures 共同代表、公認心理師、アメリカ・マサチューセッツ州LICSW
2010年からアメリカ合衆国でLGBTQ+のユースなどへのサポート等を開始。2013年からセラピストとして有色人種のLGBTQ+のユースとLGBTQ+の人を含む家族へのメンタルヘルスのケアを提供。2021年より日本でジェンダーやセクシュアリティとメンタルヘルスに関するユースへのサポートをProud Futures、プライドハウス東京、早稲田大学スチューデント・ダイバーシティ・センター/ジェンダー・セクシュアリティ・センターなどで行う
(写真:本人提供)
「ボランティアやインターンシップとして、パートナーからの暴力被害者や有色人種の若者など対人支援を必要とする人々への支援活動に携わってきました。2013年以降は、セラピスト(心理支援職)として、LGBTQ+の有色人種のユースの方々とその家族に対し、個別の心理療法や家族療法に取り組んでいました。
アメリカで、クィアな性のあり方や人種差別の問題など自身のアイデンティティに深く関わる仕事ができる喜びを感じる一方で、日本で社会変革のために活動する人たちが奮闘している話を耳にし、『自分だけがアメリカでこのような活動をしていていいのだろうか』という葛藤を抱えていました。
日本でのLGBTQ+関連の学習会で小野さんと出会ったことをきっかけに、一時帰国の際福岡に立ち寄るようになり、福岡を中心にLGBTQ+の居場所づくりや権利擁護活動をしている人たちとのつながりができました。
そこでLGBTQ+、ユースワークにおける共通の志を持つ者同士深く共感し、2020年に帰国。共に活動を始めることになりました」
性の多様性をテーマとした教材を無償で提供
「メンタルヘルス」「インクルーシブ教育」「アドボカシー」の3つを柱に活動する「Proud Futures」。注目すべきは、学校・教育関係者へのリソースの提供だ。

(写真:Proud Futuresホームページ)
その1つが「学校の先生向けの相談窓口」で、LGBTQ+の児童生徒や保護者への対応や、学校でどのようなことをしていけばいいのかなどについて、オンラインでの無料相談を受け付けている。
小野氏は「以前は、福岡の学校で性の多様性やLGBTQ+について年間70~80回講演活動をしていました。現在は年間30回程度に減らしていますが、教職員研修や児童生徒、PTA向けの講演会でお話しさせていただいたり、学校生活で困っている当事者の児童生徒の相談に乗り、先生たちと一緒に解決策を考えたりしています。この活動をさらにオープンに、どの学校からでもアクセス可能にするために開設しました」という。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら