公立小教員が実践、生産性を上げ児童の学びを深めた「自由進度学習」のポイント 単なる放任と呼ばれる実践に欠けた視点とは

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2020年から現行の学習指導要領が順次スタートし、授業改革に取り組む教員や学校が増えている。こうした中で注目されている実践の1つが、「自由進度学習」だ。しかし、「放置・放任」のような単なる個別学習に陥ってしまうケースが見受けられるとの指摘もあり、教員の力量が問われる実践でもある。2017年から自由進度学習に取り組んできたという札幌市立小学校教諭の難波駿氏は、どのような点を大切にしながら学習者主体の授業を展開しているのだろうか。

大切にしている「生産性の向上と学びの深度」

札幌市立小学校で教鞭を執っている難波駿氏は、今年で教員生活14年目。自由進度学習を導入し始めたのは2017年のときだという。

初めての実践は、小学6年生の歴史の授業。当時の学級では歴史への学習意欲が旺盛な子どもたちが多く、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康を続けて学ぶ単元でチャレンジしてみた。「4時間あげるから、自分の好奇心を拠り所に学んでみるのはどう?」と提案すると、まずは信長から学び始め2時間かける子、時系列で進め家康を重点的に学ぶ子など、自分の興味とペースで自由に主体的に学ぶ姿が見られたという。このときの手応えを機に、難波氏は自由進度学習を積極的に取り入れるようになった。

難波駿(なんば・しゅん)
札幌市立公立小学校教諭
1988年北海道富良野市生まれ。北海道教育大学札幌校を卒業後、札幌市公立小学校にて勤務。札幌市教育研究推進事業国語科副部長。北海道国語教育連盟説明文部会チーフ。子どもが「勉強って楽しい、学ぶって面白い」と感じる授業を目指し研究中。学習者主体の授業手法や教育観、自立した子の育成について、書籍・講演会・SNSを通して発信。著書に『超具体! 自由進度学習はじめの1歩』『学び方を学ぶ授業』(東洋館出版社)、『自由進度学習 超効く! 言葉かけ』(学陽書房)など

教員は通常、いわゆる「赤刷り」と呼ばれる教師用指導書を指導の基本とするが、「子どもたちの様子を見ながら、『1時間完結型授業』のリミッターをどこで外そうかと探りながら、試行錯誤してきました」と難波氏は話す。

「自由進度学習は、愛知県東浦町立緒川小学校を中心に始まり、1980年頃から『単元内自由進度学習』として全国に広がったと言われています。その考え方を取り入れつつ、学年による発達の違いや子どもの反応を見ながら、学びが高まりそうだと感じた部分において子どもに委ねるようにしてきました」

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