公立小教員が実践、生産性を上げ児童の学びを深めた「自由進度学習」のポイント 単なる放任と呼ばれる実践に欠けた視点とは
「20代の先生たちにもチャレンジしてほしい」
新年度から自由進度学習に挑戦したいと考えている教員は、どのような点に注意したらよいだろうか。
「そんな実践はやめたほうがいいと言う方もいるでしょう。しかし、私はやってみたいという先生方の気持ちは大事にしたいので、ぜひ挑戦してみてほしいですね。ただ、自由進度学習の基本は子どもが中心になりますから、『この時期から始めよう』などと計画を立てすぎないこと。クラスの雰囲気や子どもたちの特性、意欲、持っている力などを見極めたうえで始めることが大切です。とくに前年の担任が統率型の先生だった場合にはいきなり委ねることは難しいので、子どもたちの様子をしっかり見ながら少しずつ取り入れていく流れがよいでしょう」
子どもたちの状態が第一であることを前提に、運動会など大きな行事が終わったタイミングは実践を始めるのにお勧めだという。子どもたちは行事で燃え尽きてしまう場合があるが、そうしたムードを切り換えるためにも、行事の振り返りで頑張りを称賛しつつ「皆なら普段の授業でも自分でできることをもっと増やせるよね」と新たな実践を始めると学級経営の面からもスムーズだという。
最近は自由進度学習に興味を持つ教職志望の学生も増えている。難波氏は初任者や若手の教員に対してこうメッセージを送る。
「やはり最初の3年くらいは一斉指導の技術もバランスよく身に付け、そのうえで自由進度学習を取り入れていくのがいいのかもしれません。ただ、20代の先生にも積極的にチャレンジしてもらって、ぜひ若手の皆さんが感じたことや考えたことを聞きたいです。私が挑戦したのは30歳のときだったので、20代の人たちから見える景色を教えてほしいですね。子どもたちが何十年後も学び続ける人になるためには、今の授業のあり方や考え方を変えていくことが大切であり、そのためにも子どもたちに委ねる学びを取り入れる先生が増えるといいなと思っています」
(文:國貞文隆、写真:難波氏提供、Xアカウント写真:Xより)
東洋経済education × ICT編集部
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