言論の自由が保障された現在でも、台湾文学は娯楽性とともに政治性も合わさっているのが特徴だといえます。
——実際に、どのようなテーマで台湾文学が政治性を帯びていると感じられますか。
『台湾文学の中心にあるもの』では、最初の章でLGBTQ文学を取り上げました。台湾は2019年にアジアで初めて同性婚が法制化されましたが、1970~1980年代の民主化過程の中で、すでに性的少数者の人々をはじめとしたジェンダー平等を語るための物語を社会に発信する作品が広がり、同性婚合法化への原動力となりました。
当事者の声を代弁する文学
日本でもゲイやレズビアンを題材にした小説などが、三島由紀夫や吉屋信子らが書いてきたように古くから存在します。ただ、台湾の場合は、白先勇著『孽子』(陳正醍訳、国書刊行会)や邱妙津著『ある鰐の手記』(垂水千恵訳、作品社)など性的少数者を扱った文学が当事者の声を代弁する形で存在し、社会の流れと非常に密接に絡み合っていました。
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