アップルが「年商2000億ドル」を目指す新事業

ティム・クックCEOが未来戦略を大胆に語った

アップルはエンタープライズ市場での売り上げは昨年250億ドルであるとクック氏は答え、「これは趣味の遊びではない」として会場から大きな笑いを誘った。聴衆は、趣味という表現が、かつてApple TVについてスティーブ・ジョブズ氏が語った表現と同じであることを理解したためだ。

レヴィ氏から競合のマイクロソフトについて尋ねられると、戦略の違いを指摘した。

「我々は、(マイクロソフトのWindows 10のように)モバイルとPCが1つのOSであるべきだとは信じていない。双方からの気づきがあり、2つにとても注力している。しかし常にデバイス間の移行についても認識している。過去を振り返れば、アップルとIBM、アップルとマイクロソフトはかたき同士だった。今日、2者間は競い合う以上に、パートナーとしてできることの方が多い。顧客はMacで動作するMicrosoft Officeを求めている。いがみ合うことはばかげたことだ。禍根は残っていないと信じている。人生は短く、我々は間もなく死にゆく。できるだけ多くの友人を持つことが最良だ」(クック氏)。

クック氏は、アップルのエンタープライズビジネスに対する取り組みは「始まったばかり」であることを強調しており、ビジネスの規模を2000億ドルにまで拡大したい考えを述べた。

また、2015年10月末に出荷を予定しているアプリに対応したApple TVを引き合いに出しながら、「アップルはまだまだスタートを切っていない」とし、エンタープライズやテレビなど、アップルがこれから取り組んでいく事業によって、成長の伸びしろが大きいことをうかがわせた。

社会的責任がより重要になる

BoxのCEO、レヴィ氏のユニークな質問もセッションを盛り上げた。

自動車の発売を早めたとの報道もあるアップルだが、飛行機を組み立てたとしたら「Apple Plane」という名前になるというやりとりや、Dr. Dreはアップルのエンタープライズビジネスについてどう考えているか、などだ。

Apple Musicについては、「音楽は文化を変化させる」というコメントを引き出し、ビジネス向けのBeatsラジオのアイデアも気に入ったようだ。

セッションの最後には、今後のエンタープライズビジネスについての見解に触れた。まずは平等性について。

「我々は平等性について注目している。平等であることは無料だ。そこにコストがかかることではない。人々に基本的な人権と尊厳を与えることは無料なのだ」(クック氏)。

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