三浦店主は、麺をめぐる店側の在り方についても、このように話す。
「麺に関しては、かためをワシワシ食べたい人が多いと思います。かためといっても、コシがいちばん出る炊き加減をかためと認識しているお店は少なく、どうしてもワシワシな茹で加減で出すお店が多いですね。これでは作り手としては駄目だと思います」(三浦店主)

かため・普通・やわらかめの全てにおいて美味しい範囲で提供できるならばまだしも、“ワシワシ感”を優先して、きちんと茹でられていない状態で提供するのはお店としてどうなのだろう。そこまでお客の好みに合わせなくてはいけないのだろうか。
「自分は『俺のラーメンを食ってくれ!』派なので、自分のエゴをお客さんにぶつけてしまうタイプですが、商売がうまくいっていないラーメン屋さんはどんどん需要や流行りに合わせていくしかありません。
そして、うまくいってないラーメン屋さんが多いのも事実で、お客さん側の好みがどんどん流行っていってしまうというのも問題ですよね」(三浦店主)
消費者の気持ちを尊重することと、安易に味を委ねたり、迎合することは異なっている……なんだか、あらゆるビジネスに通じる、本質のように思える。
お店のベストの一杯も食べてみてほしい
今回の取材をまとめると、以下のようになるだろう。
・横浜家系ラーメンも、味濃いめで食べる人が増えており、麺もかためが好まれやすい
・しかし、うまくいっていない店ほど消費者の好みに迎合してしまい、「好み」「思い込み」が先行、ブームが形成されている
・その結果、ベストな状態でラーメンを提供できていない店も少なくない
繰り返すが、本稿は「麺かため」「味濃いめ」を否定しているわけではないし、「ラーメンぐらい好きに食わせろ」という声が上がることもわかっている。
だが、まずは初めて行ったお店では、お店のベストの一杯を食べてほしい。「普通」は決して「並」という意味ではなく、お店にとっては「ベスト」なのだ。
そして、「ベスト」を一度味わったうえで、あくまで自分の好みに合わせて、麺のかたさや味の濃さを選んでいってほしい。

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