⼤学でも「ヘリコプター・ペアレント」驚きの実態、保護者対応に悩む教職員たち 関係がこじれるのは大学側の姿勢にも一因?

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残念ながら、上記のような事例はそう珍しくもありません。対応にあたる現場の教職員も大変です。もちろん、常に大学側が正しいとは限りません。

例えば「卒論指導の中で教授から高圧的な叱責を受け続け、研究活動に参加できなくなった」なんて相談があったケース。学生が虚偽を述べている可能性も否定はできませんが、アカデミックハラスメントの可能性もあります。本人よりも家族のほうが異常に気づくことはありますので、問い合わせ自体は悪いことではありません。

とはいえ、教育研究機関としての役割を越える過度な対応を、保護者から求められる場面が増えているのも事実だと思います。大学進学率の上昇、親子関係の変化、ネットやスマホの普及、「お金を払う側は神様」や「言ったもん勝ち」といった風潮など、さまざまな理由が背景にはあるのでしょう。

お客様や消費者ではなく、学習者として扱うことも大切

とくに進級や卒業がかかっている場面では、ルールを逸脱するような要求が出がちのようです。提出物をまったく出しておらず、出席もほぼゼロ、何度も教員から連絡をしたのに返事はなし……など明らかに本人に問題がある場合でも、教員や大学が悪いと主張されるケースも。最近では断ると「訴えるぞ」「SNSで拡散するぞ」と言われることもあるようです。

理不尽な要求に対しては、大学側は毅然とした対応をすべきです。とくに「SNSで拡散するぞ」に屈して成績を甘くつけるような対応は危険です。もし「クレームを入れたら卒業させてくれた」なんて投稿がSNSに流れれば、それこそ大学の信用は地に落ちるでしょう(保護者の方も、このような交渉はむしろ逆効果だと知ってください)。

倉部 史記(くらべ・しき)
進路指導アドバイザー、追手門学院大学 客員教授、情報経営イノベーション専門職大学 客員教授
慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。私立大学職員、予備校の総合研究所主任研究員などを経て独立。進路選びではなく進路づくり、入試広報ではなく高大接続が重要という観点からさまざまな団体やメディアと連携し、企画・情報発信を行う。全国の高校や進路指導協議会で、進路指導に関する講師を務める。 兼任として三重県立看護大学 高大接続事業 外部評価委員、NPO法人LEGIKA「WEEKDAY CAMPUS VISIT」認定パートナー。公務実績として文部科学省「大学教育再生加速プログラム(入試改革・高大接続)」ペーパーレフェリー、三重県「県立大学の設置の是非を検討するための有識者会議」有識者委員など。著書に『ミスマッチをなくす進路指導』(ぎょうせい)など
(写真:本人提供)

大学側にも落ち度があったと考えるのなら相応の謝罪や反省、改善も必要ですが、対応に問題がないと自信を持っているのなら、真摯にその説明をすればよいはずです。

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