若者層に大流行の「MBTI」に誤解?「16Personalities」過信は人生の選択狭める 公開情報少なく、結果の信憑性の有無は不透明

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当然、NERIS Analytics Limited社はこうした調査を実施していない。小塩氏はキャリアや人間関係を選び取るのはあくまで自分自身であることを忘れてはならないと、強調する。親や教員も、16Personalitiesの診断の結果をもとに子どもの性格や進路を決めつけたり、個人の志向をないがしろにしたりすることは、あってはならない。

人間関係の第一歩は「その人自身」を見つめることから

とはいえ、ここまで広く認知され、もはや若者間の「共通言語」である16Personalitiesを遮断するのはもはや難しいだろう。1970年代から広まった血液型性格診断も、最近やっと下火になってきたところだ。うまく付き合う方法はあるのだろうか。

「採用や人間関係・進路指導など、実社会を便利にするために活用しようとすると、前述のような悪影響が出てきます。あくまでエンタメとして、友達と“あるある”で盛り上がったりする分には許容されるのではないかと思います」

若者たちは、自分や他人のタイプを知っておくことで人間関係におけるコミュニケーションがスムーズになることを期待している印象もある。

「コスパ・タイパを求める現代ならではの現象かもしれませんね。失敗を恐れる気持ちが強い傾向にあることも関係しているかもしれません。しかし、自分が相手と仲良くなれるかどうかは、誰もが気になるところですが、それは当人同士の対話から導き出されるもののはず。16Personalitiesの結果がこうだから仲良くなれる、ということではないでしょう。どうしても16Personalitiesの結果を参考にしたい場合は、同時に自分の言葉でも『私はこういうところがある』『この人はこんな人』と語れるのであればいいかもしれません」

16Personalitiesの結果で相性がよくても、実際に対話を重ねなければその人との関係を深めることはできない。逆に16Personalitiesで相性が悪くても、偏見を持たずにお互いが歩み寄れば、唯一無二の関係性を築ける可能性は十二分にある。人間関係に限らず育児や教育の場でも、「その人自身を見ること」の大切さは繰り返し強調されていることだ。すでに16Personalitiesのフィルターを通して社会を見ている層にはグサリと刺さる内容であったかもしれないが、ぜひ、性格診断の結果はひとまずおいて、目の前にいるその人/その子に、今一度目を向けてあげてほしい。

(文:藤堂真衣、編集部 田堂友香子、注記のない写真:マハロ / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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