若者層に大流行の「MBTI」に誤解?「16Personalities」過信は人生の選択狭める 公開情報少なく、結果の信憑性の有無は不透明

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16Personalities」
16Personalities診断では、回答の傾向によって、ユーザーはアルファベット4文字で表される16の性格タイプのいずれかに振り分けられる。16タイプそれぞれに、「INFP=仲介者」「ISFP=冒険家」など個々の特徴をイメージした名前と、上のイメージのようなイラストが付けられている。ただしこれらは、本来のMBTIの診断結果との相関はない。16Personalities診断とMBTIとでは、同じアルファベットの並びでも、その意味するところがイコールではないのだ
(写真:イメージ、ささみだいすき / PIXTA)

では、16Personaritiesにはどの程度の信憑性があるのだろうか。

「信憑性があるかないか、それすら不明というのが答えです。無料で受けられる診断は、広告収入や情報商材の販売によって回収できる範囲でのコストで制作されています。また16Personaritiesのサイトには、診断の信頼性や妥当性を担保する情報が少なく、どのような根拠や理論で作られているのかの詳細な中身はわかりません。

一方で、例えば遺伝子検査や出生前診断は有料ですよね。人生が左右されるような診断は、専門家の監修でコストをかけて行われます。心理学に基づく検査も同様で、本来は臨床心理士や公認心理士のもとで受けます。本人にとって非常につらい結果が出た場合や、社会的な支援を受ける必要が出てきた場合、専門家のもとで対応しなければならないからです」

実際、公式の日本MBTI協会では、有料セッションを提供している。MBTIのメソッドは、自分の内面と深く向き合う過程を経るため、自身の嫌な面にも目を向けなければならない。そのため、子どもにとってはむしろ悪影響となるリスクもあり、日本では18歳以上の受講が推奨されている。

ところが、16Personaritiesを提供するNERIS Analytics Limited社は、日本語でのサポートに対応しておらず、診断結果に関連して何かがあっても「アフターフォロー等を求めることは難しい」と小塩氏は続ける。

ネットの「あるある」や「ランキング」にはエビデンスがない

16Personalitiesがここまで浸透したきっかけは、K-POPアーティストがYouTubeで自身の結果をシェアしたことだとされる。ファンや視聴者が「自分はどうなのだろう」と興味を持ち、若年層の間で急速に爆発的に広まった。

ここで思い出したいのが、かつて日本で大ブームした“血液型性格診断”だ。現在では科学的根拠が否定されており下火だが、その代替として16Personalitiesがきれいに“ハマった”かたちだと小塩氏は分析する。

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