「不正トラベル」がインバウンド宿泊の裏に潜む 旅行システム会社「tripla」幹部が明かす被害実態
2024年の訪日外国人の数は3686万人と、2019年を上回り過去最高を記録した。人気観光地のホテルでは客室単価が急上昇している。一方、インバウンド需要の裏で宿泊業界では、ある詐欺行為の被害が増えている。それは「不正トラベル」だ。
東証グロース市場に上場し宿泊管理システムを提供するtripla(トリプラ)も、不正トラベルの被害に遭った一社だ。同社は国内をはじめ、東南アジアなどでホテルなどの宿泊施設向けに、宿泊予約エンジンやチャットボットサービスなどを提供している。
「インバウンド客が戻ってきた2023年夏ごろから不正トラベルの被害も増え始めた」
トリプラで営業部門を管轄する奥林正浩執行役員はそう語る。2024年には不正トラベルによって3000万円の被害を受けたという。同年のトリプラの純利益は2億円程度。被害額はその15%程度に相当するため、同社からすると看過できない。
日本人名義のクレカで直前に予約
不正トラベルの代表的な手口はこうだ。
まず宿泊日の2〜3日前、ホテルのHPなどから宿泊予約が入り、日本人名義のクレジットカードで事前決済が行われる。しかし当日、宿泊に来るのは日本語をしゃべることができない外国人だ。インバウンド客だとすると、宿を確保するのがあまりに直前に感じる。
その外国人が宿泊しチェックアウトして数日後。予約サイトや宿泊施設などに連絡がくる。「宿泊者はカードを不正利用して予約・決済をしている」と伝えられるが、後の祭りだ。
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