厳しいヤマトが昨年末に繰り出した「攻めの一手」 宅急便だけでは成長に限界、3PL有力会社を買収

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ヤマトには、宅急便以外でも業績を拡大していく狙いもある。

3PLの場合、投資は明確に収入へとつながる。倉庫を広げて顧客を獲得すれば、保管や入出庫、倉庫内の作業、配送に関連した収益が増えていく。坪当たりの収益も見通しがつきやすい。宅急便のように、荷物量の変動で急激に利益を落とすことは少なく、比較的安定した収益が期待できる。

攻めの営業への転換も大きな狙いだ。例えば新潟県の場合、新潟市と長岡市にヤマトのベースがある。だが、企業が集まる需要地は金属製品や洋食器などで知られる燕三条だ。今後はこうした顧客に求められる地域に向けて拠点を構え、仕事を開拓する能力が求められる。

アマゾン出身役員を異動させた狙い

むろん、課題は多い。3PLの拠点を構えるうえでは、出荷の量や方法、出荷先の数、在庫の回転数などの情報から「顧客にはこんな施設が必要だ」と計算する必要がある。こればかりはノウハウが求められる。

ヤマト運輸の鹿妻明弘氏
「オーダーメードのサービスをつくっていく」「どんどん入札に出ていきます」と語った鹿妻氏。ナカノ商会とアマゾンへのシフトを進めると思いきや、そうした狙いではないとのことだった(記者撮影)

そこで昨年10月、鹿妻氏をロジスティクス事業の担当に異動させた。鹿妻氏はかつてアマゾンジャパンで副社長を務め、いくつもの大型センターを手がけてきた。ナカノ商会についても、当然アマゾン時代からよく知っている。

3PLは群雄割拠の業界だ。投資ファンド・KKRの傘下で国際物流も手がけるロジスティード、相次ぐ買収で急成長中のセンコーグループホールディングス。プラント関連の仕事も手がける山九。メーカーの物流子会社を買収し成長したSBSホールディングスなど、ユニークな会社がそろっている。

即戦力の会社を買収し、攻勢に出たヤマト。ナカノ商会のノウハウを吸収しつつ、宅急便の足回りを生かした独自のサービスを磨いていくことが、3PLでの成長の焦点となりそうだ。

現在、ヤマトは日本郵便と投函商品の委託業務についてトラブルが表面化し、日本郵便に提訴されている。鹿妻氏は協業の担当者の1人である。今後の方針について鹿妻氏はこう語った。
「協業自体、すごく意味のあることだと思っているが、お客さんが軸じゃないですか。お客さんが利便性を損なわないように、継続的なサービスを受けられるようにすることが大義で、そのやり方として協業がある。大事なプロジェクトということに変わりはないので、しっかり頑張っていく」(鹿妻氏)
3PLは重要な成長戦略だが、日本郵便との協業も巨大なプロジェクトだ。待遇改善や効率化など、さまざまな課題を抱える業界のためにも、大手同士の協業を崩してはならないだろう。
田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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