「フジはヤバい」と追求する側にも潜む"リスク" "性接待"は本当にフジテレビだけの問題なのか

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あまりに「フジ憎し」が過熱しすぎて「木を見て森を見ず」になっていないか。猛批判に埋もれながらも、そんな声がネット上にチラホラと見えはじめています。

とりわけハラスメントや意にそぐわない性行為と“キャスティング”の関係性はフジテレビだけの問題と言い切っていいのか。

メディアも世間の人々も「同社を叩くだけでは根本的な解決に至らない」ことに目を向けなければいけないように見えます。

この​“キャスティング”には、「番組に出たい出演者側」と「人気タレントに番組に出てもらいたい制作者側」という両者の思惑があり、中居さんとフジテレビの疑惑は後者がベースになって起きたものと報じられています。

そしてエンタメ業界におけるキャスティングは、必ずしも実力にもとづいて行われるとは限りません。個人の好みや取引先への便宜などが優先されることもあるなど、フェアであることが必須ではないからこそ、ハラスメントや性被害の余地が生まれてしまいます。

たとえば、芸能事務所やモデル事務所などは所属タレントを何とかキャスティングしたいし、そのためには担当者に好かれなければならず、万が一にも嫌われたら仕事ができなくなってしまう。

一方、テレビ局だけでなく映画・音楽・舞台などの制作関係者、イベント会社や広告代理店のキャスティング担当者などは強い権限を持っています。また、以前ほどの権限はないとはいえ、写真集やDVDなどの担当者も影響力のある存在といっていいでしょう。

そんな両者の関係性がハラスメントや性被害が発生しやすいリスクに直結。実際、筆者自身、この20年あまり、耳を疑いたくなるような下記の話を聞いてきました。

追求がエンタメ業界全体に広がる可能性

「映画のキャスティング権限を持つ監督による若手女優への性的行為」「複数の俳優による映画配給会社スタッフへの性的なハラスメント」「舞台演出家による俳優への意にそぐわない性行為」「芸能事務所が若手タレントを使って広告代理店のキャスティング担当に過剰な接待」「広告代理店社員とCM出演者によるPR会社スタッフへの性的なハラスメント」。

これらは本人から聞いたもの、伝聞によるもの、筆者が実際に見たものですが、この他にもあり、決して少ないとはいえません。さらにあるエンタメ業界関係者と中居さんとフジテレビの騒動について話したとき、「ちゃんと調べたらウチの業界はもっとひどいかもしれない」「以前から性接待の話はあり、被害者も知っている」と嘆いていました。

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