2015年前後に注目された“爆買”は、家電量販店やドラッグストアで大量購入する様子がクローズアップされがちでした。
しかし、近年の「爆買2.0」は、「体験」や「娯楽」「地方観光」といった領域へも広がっています。
コロナ前と比べて人の数と消費が変わっただけでなく、旅行の質も変わりつつあります。特に団体旅行から個人旅行への比率が増えてきている中で、たんなる買い物目的ではなく、中国ではなかなかできない体験を求める中国人が増えています。
また、日本旅行はリピート客が多く、都市部を一通り回った人が、地方へ足を運ぶケースも増えてきています。
近年の「爆買2.0」は変化している
プロ野球やJリーグ、バスケットボールなどのスポーツ観戦や、アニメの“聖地巡礼”、テーマパーク巡りを目当てに訪日するケースが増えています。関連グッズの購入やイベント参加などで、旅行中の出費がさらに膨らむのです。
たとえば、バスケットボール漫画として「スラムダンク」が有名ですが、中国でも大人気で2023年に中国国内でも映画が公開されたときは興行収入が130億円を超えました。
私の周りにもスラムダンク好きはたくさんいて、聖地巡礼として漫画の舞台となっている鎌倉に訪ねたことを自慢げに話してくれました。
大都市部をすでに何度も訪れたリピーター層が、地方の温泉や伝統文化、自然豊かな観光スポットへと足を伸ばしています。
地元グルメや工芸品、祭りなどに触れることで「ここでしかできない体験」を求め、結果として滞在期間や出費が増える傾向です。
私の大学の友人にはコロナ前から、毎年のように日本に旅行している人もいて、そのような玄人旅行者は、私でも知らない地方に足を運んで、地域の伝統的な風情を楽しんでいます。
たとえば江戸時代の街並みを残す岡山県の「倉敷美観地区」や岐阜下呂温泉に行って花火大会も見て帰った話などをしてくれてうらやましくなりました。
こうした多彩な消費形態が、1人当たりの支出を引き上げ、コロナ前を大きく上回る消費規模を生み出しています。
訪日中国人観光客は人数も消費額も拡大しながら、今しばらく日本の経済にプラス効果を及ぼすと期待されています。
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