ここで特に注目したいのが、1人当たりの消費額です。
「1000万人・3兆円超え」の衝撃
観光庁「訪日外国人消費動向調査(2024年暫定値)」によると、訪日中国人観光客の1人当たり旅行支出は平均約30万円。
コロナ禍前の2019年(約21.2万円)より大幅に上昇しており、もし年間1000万人が訪れてそれぞれ30万円ずつ消費すれば、「3兆円規模」という莫大なインパクトになります。
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ここまで急速に中国人観光客が増加している背景にはいくつかの理由があります。
SNSでの愛国的なコンテンツの増加によって、日本に対して過激な思想を持っている中国人がいることも事実です。
SNSやそれを報道するニュースを見ると、そのような人ばかりなのかと心配になるかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。
私もコロナ期間中に、北京大学の同級生などから「日本旅行に早く行きたい」「せっかくビザをとっていたのにコロナで行けなくなってとても残念だ」とよく話を聞いていました。
ネットやTVではネガティブな声が目立ちますが、声に出していないだけで、日本が大好きな中国人がたくさんいることを、こちらに住んでいるととても感じます。
不動産バブルが崩壊し中国もデフレへ突入したことで、中国人の消費が抑制されていることは事実です。
ただ一方で中国の旅行業界はコロナ後から大きく成長を遂げており、2024年は昨対比で15%ほどの成長、コロナ前の2019年比でも10%の成長をしており、過去最高の規模にまでなっています。
この背景には、コロナ禍において制限のあるストレスがかかる日常を強いられていたことの反動と、経済低迷が進み可処分所得の増加が不透明な中で、より価値が高いと感じられることに消費の矛先が向いていることの表れだと言えます。
そういった人たちにとって、日本は最も気軽に旅行ができる国のひとつなのです。
日本への旅行から帰ってきた中国人の友人から、「日本での買い物はとても安くお得感がある」とよく言われます。
低価格で質のいい商品が提供できているのは、日本企業の努力の賜物であるとも言えますが、やはり為替の影響はとても大きいはずです。
2019年1月の1人民元は約16.5~17円ほどでしたが、2024年1月現在は約19.5円~20円ほどであり、日本円は10~20%ほど安くなっています。
この円安の影響もあって、日本での旅行はお買い得に感じるのです。
私も北京在住者として、たまに日本に帰ると特に日本食がうまくて安くて、毎度嬉しくなります。中国人にも同じような感動があるのだと思います。
2019年の中国人の1人当たりの消費額は20万円ほどでしたが、最新のデータだと30万円ほどになっており、10万円ほども増えています。これは円安の影響も大きくあると言えます。
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