「人手不足」は本当か?データからわかる現実とは 労働市場に低待遇で舞い戻ってくる人々の存在
下の図では、完全失業者数の1カ月当たりの純増(黒の棒線、右目盛り)を、失業プールへの流入(青の折れ線)とそこからの流出(赤の実線の就業者、赤の破線の非労働力)に分けている。
ここで、月ごとのフローを表していることに注意をしてほしい。たとえば、1カ月当たりの失業者数の増加が2万人とすると、1年あたりに換算すると24万人の失業者数増となる。
完全失業者数の増減は、確かに、2023年以降、プラス・マイナス1万人とわずかな変動で推移してきた。しかし、失業プールへの大量の流入は、その間、拡大してきた。具体的には、2022年9月までに流入が40万人を下回ったものの、その後、上昇に転じ、40万人を超えた。
横ばいの内実は「失業への大量流入」と「非労働力化」
一方、失業プールから就業への流出は、流入のほぼ半分を吸収してきたにすぎない。それでも失業者数が増加しなかったのは、失業者が非労働力化すること(失業していたものがハローワークに通わなくなること)によってその残りを吸収してきたからである。
この図を注意深く観察すると、2つの重要なポイントを指摘できる。
第1に、新型コロナ禍以前は、就業への流出と非労働力への流出がほぼ同水準であった。ところが、新型コロナ禍以降、後者が前者を万人単位で上回るようになった。
第2に、非労働力への流出は、2023年春以降、増加傾向にある一方、就業への流出は、2024年以降、低下傾向にある。その結果、非労働力への流出は就業への流出を約4万人も上回るところまで拡大した。
すなわち、失業者の非労働力化が加速してきた。
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