「人手不足」は本当か?データからわかる現実とは 労働市場に低待遇で舞い戻ってくる人々の存在
標準的な労働経済学の教科書では、失業率の低下を伴わない欠員率の上昇は、求人と求職のマッチングの悪化、逆に、失業率の上昇を伴わない欠員率の低下はマッチングの向上と解釈されている。
こうした一般的な解釈に従えば、2023年以降、求人倍率が低下したにもかかわらず、失業率が大きく上昇しなかった労働市場は、求人と求職のマッチングが向上してきたと積極的に解釈されるであろう。
しかし、2023年以降、求職者が容易に就職できるようになったわけではなさそうである。
労働市場でのマッチングが向上したわけではない
求職している者が就職できている割合を見てみると、2020年半ば以降、同比率はほぼ5%で推移してきた。新型コロナ禍前の2019年には同比率が7%を超えていたことを考えると、労働市場の求人と求職のマッチング状況は、新型コロナ禍以降、悪化したままの状態にあったといってよい。
それでは、なぜ、求人倍率が低下したにもかかわらず、失業率が上昇しなかったのであろうか。
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