「東京メトロが運営」ロンドンの鉄道、何が変わる? 時間の正確さに期待感「日本流」は打ち出せるか
東京メトロと住友商事は11月20日、イギリスの鉄道事業者ゴーアヘッド(Go-Ahead)と共同で、ロンドン交通局(TfL)からエリザベス線の運営事業受注について内定を受けたと発表した。
3社が設立した事業会社GTSレールオペレーションズ(GTS Rail Operations Limited、出資比率:ゴーアヘッド65%、東京メトロ17.5%、住友商事17.5%)がTfLと契約を締結し、2025年5月から同線の運営を開始する予定だ。契約期間は最長9.5年(基本7年+オプション2.5年)とされている。
現在、エリザベス線は2025年5月までの契約で、香港の鉄道事業者であるMTR(香港鉄路)が運営権を持っている。契約更新に当たってはGTSやMTRなど4社が入札し、その中で選ばれたのがGTSだ。
GTSが指名を受けた理由について、一部ではMTRが香港を拠点としていることから「(同社が)中国とも深くつながっていることを嫌った」との見方もある。
「運営に参画」実際には何を担う?
今回GTSが獲得したのは、エリザベス線で列車を運行しサービスを提供する「運営権」である。多くの人が「では、車両や線路、駅といったインフラの保有や管理は誰が行うのか?」と疑問を抱いたかもしれない。
日本では鉄道施設の保有と運行・運営が一体となっていることが多いため、「運営権だけ」の取引はやや馴染みが薄いだろう。エリザベス線で採用されているのは「コンセッション方式」と呼ばれる仕組みである。
この仕組みは、日本のスポーツ施設や公共施設で導入されている「指定管理者制度」に似ている。指定管理者制度では、自治体が所有する施設を、運営権を委託された民間企業や団体が管理・運営する。
これと同じように、エリザベス線はインフラ(線路や駅)をTfLが所有し、GTSはそのインフラを活用して列車を運行し、乗客にサービスを提供する役割を担う。従業員は現在の運営会社から引き継ぐ。
では、収益はどのように分配されるのか。乗客からの運賃収入やその他の収益はTfLが一括して管理する。一方、GTSは運行業務の対価として、TfLから固定報酬と成果報酬を受け取る仕組みである。この方式は、運賃収入リスクを運行会社が負う「フランチャイズ方式」とは異なり、リスクをTfLが負担する点が特徴的だ。
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