【後編】教育現場に波紋広がる「不登校ビジネス」、専門家の視点とスダチの主張 自治体と民間企業の連携、文科省の見解は?

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「当社は2020年にサービスを開始してから、1300人以上のお子さんの再登校を実現できています。感謝の声も多く、実例としてサービス利用者へのインタビュー動画をYouTubeで公開しているほか、HP上では直筆のアンケート回答を多数掲載しています。多くのご家庭の問題解決に貢献してきたという事実はしっかりと伝えたい」

小川氏によると、スクールカウンセラーをはじめとした専門機関に相談を重ねてきたものの、子どもの状況が変わらないため、スダチに支援を求める保護者が多いという。

「私も以前は、1年ほど『見守り』を重視した不登校支援に携わっていたことがありました。しかし『見守り』ではうまくいかず、もどかしさを感じながら試行錯誤を繰り返す中で、私たちのメソッドの元となる考え方に出合いました」

その実践者の名前は明かせないとのことだが、従来の「見守り」とは異なるアプローチによって親子関係の改善や再登校という結果を出していることに関心を抱き、自らもメソッドを習得し、事業として取り組むことにしたという。

スダチに対する批判の1つに、「不登校の原因を親子関係のみに求めていること」がある。これに対して小川氏は、こう語る。

「家庭だけが原因ではないことは当然承知していますが、どのような場合も『親の子どもに対する関わりの影響力』は無視できないと考えています。スダチでは不登校を『学校』と『家庭』の2軸で捉えており、このうち学校の問題の解決は教育行政や学校現場が取り組むべきことなので、私たちは家庭の状況をよくすることに力を注いでいます」

メソッドの根拠については、「実際に成果が出ていることが、まず何よりの根拠」と小川氏は説明する。また現在、複数名の心理学の専門家とともに、スダチのメソッドの有効性をエビデンスとして示すための学術論文の作成も進めている。査読も1回挟んでおり、来年には公表できるという。

「選択肢はたくさんあったほうがいい。当社も選択肢の1つ」

では、「親を介して行動療法的な手法を用いていること」を疑問視されている点についてはどう考えているのか。

「現状、不登校のお子さん本人に直接アプローチするのは難しいため、親御さん経由で行っていますが、行動療法を専門とする大学教授や精神科医などにサポート内容に問題がないかチェックしてもらっています。80名ほどのサポートスタッフは専門資格を採用条件としていませんが、アメリカで心理士として引きこもり支援をしていた者もおり、そのスタッフからも助言を得ています」

契約の問題については、次のように説明する。

「メソッドが流出するとビジネスが成立しなくなるので、口外禁止条項を設けるのは当然のこと。ただし、不利益を被ったと感じた場合、親御さんが弁護士や消費生活センター等に相談を行うことまでは、私たちは止められません。また、当社のサービスが再登校を保証するものではないことやお子さんが暴れる可能性などについては契約書に明記しており、事前に口頭でもお伝えするなどリスク説明も行っています」

11月半ばに、HPを修正。「平均3週間で再登校」(写真上:スダチHP<2024年9月10日時点>より)から「3週間で子どもが自ら再登校するためのサポート」(写真下:スダチHP<2024年11月21日時点>より)に変えるなど表現を修正

PRが誇大広告に当たるのではないかという指摘については、消費者庁から指導があったわけではないが、「誤解を招かないように」(小川氏)すでに対応を進めている。広告の表現を修正するほか、自社HPも11月半ばに変更を行い、「スダチは再登校をゴールとしていません」「3週間で子どもが自ら再登校するためのサポート」などの表現を採用した。

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