高齢化・老朽化団地「理事長決め」の心理戦バトル "ポンコツ"の私が「理事長」を引き受けたワケ
私「お仕事は何を?」
Aさん「大工」
私「じゃあ蛍光灯は変えられる?」
Aさん「うん」
私「建物設備理事が残ってんねん。大工さんやったらぴったりやわぁ」
Kさん「いや~ほんまやわぁ」
凍てついた空気をお母さん理事の優しい笑顔が溶かし始めていました。建物設備担当はAさんが引き受けてくれそうです。
場の空気はなんとか持ち直しましたが、最後に残された理事長の役を受けるという声は相変わらず上がりません。
「これからは女性の時代や!」
最年長理事が突然、「理事長はあんた(私のこと)がやったらええねん」と言い出しました。
「女性の時代」を唱えるなら、なぜ女性理事Iさんの引いた理事長くじを戻させたのか? 最年長理事の発言が大きな矛盾をはらんでいたにもかかわらず、突然の謎ムーブに動転した私はその矛盾をスルー。ひたすら新たな突破口を見出そうと焦っていました。
味方のいない水野
最年長理事の矛盾に真っ先に気付いたのは、Aさんを懐柔したKさんでした。
「やっぱり男性がやったほうがいいと思うわ」と提案してくれたのです。
私もすかさず援護します。
「男性理事でまだお若いGさんが適任じゃないでしょうか。Gさんが当たった書記の役目は私が引き受けてお支えしますから、いかがですか?」
ところが前回まで父親任せにしていて理事会初参加のGさんは「理事長とは何をする人なのか?」のイメージがつかめず、どうしても決断できない様子。
しびれを切らしたKさんが「男性を理事長に」という主張を撤回してしまいました。そして女性の私に向かって「お願いします」と頭を下げ、にっこりほほ笑んでいます。
私と同じ2代目のIさん、Gさんをかばうベテランはいるのに、「公私ともに不安定な水野に、ボランティアの理事長を押し付けるのは気の毒」と言い出す人は誰もいません。孤独感を強めた私は墓穴を掘ってしまいます。