2025年に向け「日本株の黄金の時間」がやって来る 今は日米とも「政策に資金を乗せる」ときだ
もちろん、株式投資は主に値上がり益を狙うので、成長性の高いインドの株式配当利回りが10年債の利回りよりも低くなるは当然だろう。とはいえ、さすがにこれほどの差では、株価が買われすぎと言わざるをえない。株価が好調なアメリカの市場でさえ10年債利回り4.32%に対しアメリカ株全体の配当利回りは1.53%と、その差は-2.79%ポイントにすぎない。
では、日本はどうだろう。10年債利回り約1.0%に対し、東証プライム市場の株式配当利回りは2.3%(同)とその差は+1.3%ポイントになっている。
長い間ゼロ金利に慣れた日本の投資家はその異常さに気づいていないが、世界の主要市場では現在、長期金利より株式配当利回りが高い国は日本だけで、10月に史上最高値を更新したDAX指数を擁するドイツにしても、対象376銘柄で±0%ポイント(長期金利と配当利回りがほぼ同じ)だ。
前述のように、ナスダック総合指数が再び史上最高値を更新した今、日経平均の割安感が甚だしいと思うのは私だけだろうか。アメリカの主要3指数は、7月の世界株高の水準をすでに力強く抜き、ドイツのDAX指数も10月には一時抜いた。7月ではなく、すでに5月に史上最高値をつけた英国のFTSE100指数やフランスのCAC40は論外としても、7月の最高値更新を達成していないのは日本だけだ。
「政策に資金を乗せろ」
日米で2つの大きな選挙が終わり、アメリカでは圧勝したドナルド・トランプ次期大統領が、その勝利宣言で「アメリカの黄金時代が来る」と述べたが、それは日本にも言えるのではないか。
確かに、日本の衆議院選挙では政権与党が過半数を割れた。だが、これは勝負が終わったわけではなく、来年夏の参議院選挙、場合によっては衆参同時選挙に向けて各党の勢力争いが始まったことを意味する。
「政策に資金を乗せろ」という相場格言があるが、まさにその相場格言どおりのときが来たと言える。
前回から議席数を大幅に伸ばして民主党時代の2012年以来の政権奪還を狙う立憲民主党は「成長の柱となるデジタル産業などへの投資を重点的に行う」と言い、国民民主党は「令和の所得倍増計画を実現する」「半導体、蓄電池、AIなど成長分野への投資減税」を唱えている。
一方の自由民主党も「物価上昇を上回る賃上げ」や「成長と分配の好循環が力強く回っていく経済の実現」「経済あっての財政、デフレ脱却最優先の財政運営」などと訴え、主導権を渡さず、議席の回復を狙うだろう。
立憲・国民民主党の推す半導体・AIなどの成長産業は言わばハイテク株、自民党の推すデフレ脱却経済は言わば内需株を底上げさせる。日本の株式投資においては、ひとまず来年夏までとしても、まさに内需・外需の両輪が回転する黄金の時間が始まったと言えるのだ。
アメリカ株は民主党よりも共和党がなじみやすい
10・11月相場は、日経平均の日足をみてもわかるとおり、選挙による不透明感から模様眺めのもみ合いを続けてきた。アメリカ大統領選についても、大統領がどちらに決まろうとも不透明感が解消するとしてきたが、想定よりも差がついたことで、接戦になったときの結果確認まで長引くという不安も同時に解消した。
アメリカは、政権交代システムが確立しており、政権交代によって国が大きく混乱することはない。次期トランプ政権の主要メンバーが誰であっても、アメリカの強さは変わらない。また、歴史的に見てアメリカの株式市場は民主党よりも共和党になじむ。
次期トランプ政権の政策の主な特徴を挙げれば、減税で企業の活力を促し、FRB(連邦準備制度理事会)には金融緩和を求め、「アメリカ第一主義」で同盟国にも関税上乗せや軍事費負担の増加を要求、CO2による過度な温暖化懸念に否定的といったところだろう。
一見支離滅裂でインフレや金利上昇を誘い、日本とってはネガティブな要因が多いとみる投資家もいることは事実だ。だが、人気映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の憎めない悪役であるビフ・タネンのモデルがトランプ氏だと以前に言われたことがあるくらいで、そのキャラはアメリカ人好みだということが今回の選挙で証明された。アメリカの株式市場も、今後のトランプ氏の政策に期待している。
これらのことから、日本株の今後については「国内政局にトランプトレードも加わったデフレ脱却相場の総仕上げである2025年黄金相場が見えて来た」と感じる。
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