トラブル時の「新幹線ホテル」実際に泊まってみた 車内で何人が寝ているのか、快適に眠れるか

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新幹線車内では、車両の洗面所もお手洗いも使える。すべての明かりもついたままだ。とりあえず洗面所で歯を磨き、化粧を落とし、服をジャージに着替えて寝る準備を整えた。ジャージは、寝台特急サンライズのノビノビ座席で帰ることになるかもしれない可能性があったので、一応持って来ていた。

せっせとそんなことをしていたのは私だけで、大半の人はすでに寝ていた。時間はすでに1時。朝5時までしかいられないのだから、確かにすぐ寝るのが得策だろう。

さて、私も寝よう……としたが、車内が暑くて寝られない。というのも、全車両のドアや貫通扉がすべて開いているからだ。この頃は連日30度超えの蒸し暑い日々が続いていた。もちろん冷房は入っているけれど、外気に負けている。私は暑いと寝られないたちなのだ。大昔に行ったキャンプで、暑くてテントの中でまったく寝られなかったのを思い出す。

ふと、ハンディファン(携帯用小型扇風機)を持っていたことに気づいた。昔と違い、便利な道具が今はある。肘掛けにある電源にハンディファンの充電コードをつなぐ。強風だと音がけっこう気になるので、周りに聞こえない程度の風力にした。寝ている間ずっと風が当たるおかげで、すやすやと寝られた。

朝5時で「新幹線ホテル」はチェックアウト

朝5時。車内放送で目が覚めた。

「ただいま午前5時となりました。休憩用列車、終了とさせていただきます。どなたさまもお忘れ物のないよう、お降りください。昨日は列車が遅れまして、大変ご迷惑をおかけしました」

車内の通路を駅員さんと警備員さんが往復する。さらに女性の声で自動放送も流れた。

「おはようございます。昨日は大雨の影響により、列車が遅れましたことをお詫びいたします。この列車はまもなく回送列車として車庫に入ります。ご協力をお願いします。お客様には大変ご迷惑をおかけしました」

こんなパターンの自動放送も用意されているのか、などと感心しつつ、慌てて荷物をまとめ、ジャージのままホームに出た。

すでにホームの電光掲示板には、始発の列車が表示されている。東京駅発新大阪行きの始発は6時ちょうどだが、この16番ホームは6時21分発のひかり新大阪行きが最初の新幹線のようだ。もう1日が始まっていた。

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