インドは国産化?「新幹線輸出」なぜ難航するのか ベトナムも「自国技術」で高速鉄道建設表明
設計最高速度は時速350km、軌間は新幹線と同じ標準軌(1435mm)であるものの、旅客専用ではなく、5つの貨物駅を設置して機関車牽引の貨物列車も運行する。
フランス植民地時代に建設された既存の鉄道インフラ(南北統一鉄道)は老朽化が激しく、線路付け替えなどの大規模な改修なしに速達化、輸送力増強は見込めない。都市間輸送は貨物、旅客ともに高速鉄道に移行する方針で、貨物列車は中国に直通する。わずか10年ほどでの開業は難しいとは思われるが、長らく進捗の見られなかった南北高速鉄道計画がいよいよ動き出しそうだ。
ベトナム政府は2023年1月、高速鉄道建設について日本に支援を要請している。
ベトナムにおける国際開発プロジェクトの難しさは2024年7月19日付記事(『日本支援「ホーチミンメトロ」いまだ開業しない謎』)で詳報したとおりで、日本のみならず中国も含め、各国のセールスがフェードダウンしていることは十分に留意すべき点ではある。しかし、「自国予算・自国技術」というベトナム政府の二大方針は、日本がこれまで取ってきた新幹線輸出姿勢への強烈なアンチテーゼになっているとも言え、決して無視できない動きだ。
新幹線輸出は事実上不可能に?
ベトナム政府はこの方針について、外国への依存を軽減し、適切な運営、管理を確保するためであると説明する。いわゆる債務の罠を回避するために海外から金を借りないというスタンスを表明したわけだが、運輸省のグエン・ダン・フイ副大臣は「どの国からの融資にも条件が付くことが多いからだ」と述べたとも報じられている。
現在、日本の円借款案件で鉄道インフラ輸出に多く用いられているSTEP(本邦技術活用条件)では、車両や信号、電気関係など「上物」と呼ばれる鉄道運行にかかわる部分は、基本的に日本からの輸出か、または日本企業の製品を用いなければならない。よって、限られたメーカーしか対応できず、1社しか入札しないという状況もしばしば発生する。これが日本支援のプロジェクトがコスト高になる要因の一つだ。
「自国予算」の方針についてベトナム政府は、主に中央政府の予算、国債、地方からの拠出金、低金利融資で賄い、それでも不足する場合に限って海外からの融資を受けるとしている。だが、あくまで国が外国からの借金を作らないという部分が焦点であり、海外の官民からの投資に不都合はないはずで、結果的にはPPP(官民連携)スキームで建設されるのが現実的なところだろう。いずれにしても、政府間契約でのプロジェクトにはならない。
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