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インドは国産化?「新幹線輸出」なぜ難航するのか ベトナムも「自国技術」で高速鉄道建設表明

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  • 高木 聡 アジアン鉄道ライター
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その「上物」を巡って、2024年の初めごろから不穏な空気が流れ始めている。高速鉄道は総工費約9800億ルピー(約1兆7940億円)、そのうち8割が円借款で賄われる超巨大プロジェクトだが、大幅なコスト超過は必至の情勢で、1.5倍以上に膨れ上がるともいわれる。そんな中で価格交渉が難航している。

とくに高すぎるとインド側から批判の対象になっているのが車両だ。近年の物価高や半導体不足などで価格が上昇していることもあるが、コンサルによる見積もり価格が甘すぎたというのが大きい。加えて、インド高速鉄道には東北新幹線のE5系に準じた車両を導入することが前提となっているため、対応できるメーカーが限られることからも、価格がなかなか下がらない。

東北・北海道新幹線を走るJR東日本のE5系(編集部撮影)

そこで、インド側は高速鉄道車両の国産化を主張し始めたのだ。

もともとインド高速鉄道の国産化は既定路線で、インド側は「メイク・イン・インディア」を掲げ、日本側もこれを約束していた。計画どおりなら10両編成24本が導入されるE5系タイプ車両も、6本程度をインド国内でノックダウン生産することも検討されていた。しかし、スケジュール、コスト、技術的問題、それに新幹線技術の開示可否、どれをとっても早急な判断は難しく、棚上げされたままになっていた。

進む独自車両開発、2026年には完成?

一方、インドはこの間、独自に動力分散方式による準高速車両の開発に乗り出しており、設計最高時速180km(営業最高時速160km)の「Vande Bharat Express(ヴァンデ・バーラト・エクスプレス)」として結実し、2019年2月に営業運転を開始した。これも「メイク・イン・インディア」の一環で、モディ首相の肝いり政策である。

2019年に営業運転を開始した設計最高時速180kmのインド国産車両「ヴァンデ・バーラト・エクスプレス」(写真:Getty Images)

2022年に量産化が始まり、2024年10月時点で70編成以上が投入され、今後も大量増備が進む。これらの車両は営業距離がおよそ500~800kmの区間で運用されているが、より長距離での使用を目的とした設計最高時速220kmの「Vande Bharat Sleeper(ヴァンデ・バーラト・スリーパー)」の開発も進んでいる。プロトタイプ編成はインドメーカーの中で比較的品質や技術力が高いとされるBEML社が製造し、試運転が始まっている。

これらヴァンデ・バーラトシリーズの車両は、広軌と呼ばれるインド在来線の1676mm軌間用であり、インドとしては将来的な海外展開のために、新幹線と同じ世界標準である1435mmの標準軌を高速で走れる技術を確立したいという思惑がある。2023年10月に一部区間が先行開業したデリーの通勤新線(RRTS、営業最高時速160km)は標準軌だが、車両はアルストムが現地生産した。

デリー郊外の通勤新線用高速車両(写真:Alstom)

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