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AIや猿は苦手な「人間の思考法」が可能にしたこと 『言語の本質』と人間知能の深層③

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今井むつみ、秋田喜美『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』
今井むつみ、秋田喜美『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』中公新書

先頃、米オープンAIは新しい大規模言語モデルである「o1(オーワン)」を発表した。このモデルは複雑な推論を実行するために訓練されており、ユーザーに応答する前に、長い内部思考の連鎖を生成するのが特徴だ。それにより博士号レベルの物理、化学、数学の問題を解くことができる。このAIモデルは、演繹推論、帰納推論のいずれにおいても、多くの場合で人類をすでにはるかに上回る成績を出した。

人間特有の推論方法

一方、AIより人間のほうが得意な推論方法がある。「アブダクション推論」だ。次元や前提をランダムに変えてさまざまな仮説を形成し、それを検証することで新しい知識を得る、という推論方法である。観察された事実から仮説を導くため、直感、経験、複雑な文脈解釈という、人間固有の能力が必要とされる。

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