アクションカメラ王者「GoPro」が赤字転落の理由 最も安い半額モデルを9月発売で巻き返し狙う

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その後、GoProのユーザーが作った膨大なコンテンツを管理・保存・編集できるソフトウエアやクラウドストレージのサブスクリプション(定額課金)提供などハードウエアに頼らない戦略を推し進め、2021年に黒字化を果たしたばかりだ。

再び赤字に陥った今、どう抜け出すのか。新製品の裾野拡大とともに、新たに販路も見直す。ゴープロはソフトバンクC&Sと販売契約を締結し、ヨドバシカメラやヤマダ電機といった大手家電量販店での取り扱いを強化すると表明。中国DJIなどが強い量販店などとの関係構築に踏み出す。

これまでゴープロはダイビングショップなどスポーツ専門店への販路に強みがあった。今回の提携で従来の販路に加え、より広範な消費者層にアプローチを図る狙いだ。

ヘルメットメーカー買収でコア層強化も

一方、従来のコア層にもアプローチを広げる。ゴープロは欧米を中心にスポーツの大会をスポンサードするなど振興に注力し、強固なファン基盤を築いてきた。

その中でも、モータースポーツはブランドビジネスの中核を担う分野。2024年1月にはオートバイ用ヘルメットメーカー「Forcite」社の買収を発表した。

同社はカメラやインカム機能を搭載したスマートヘルメットを開発するオーストラリアの企業で、今後共同でゴープロ独自ブランドのヘルメットを開発すると明かす。また、他のヘルメットメーカーとも提携し、OEM(相手先ブランドによる生産)供給することで事業拡大を図る方針だ。

ゴープロで国内のマーケティングを担当するイ・スホン氏は「スポーツやアウトドア分野で根強いファンやクリエイターがいることがわれわれの強みだ。これからもコアユーザーを大事にしつつ、ファミリー層や若者など新規ユーザーにも焦点を当てた戦略を展開する」と意気込む。

アクションカメラ市場の裾野が広がる中、かつての王者は新製品の発売を足がかりに再び輝くことはできるのか。今後の動向に注目が集まる。

山下 美沙 東洋経済 記者

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やました みさ / Misa Yamashita

精密・ロボット業界を担当。山梨県韮崎市出身。神戸大学経済学部を卒業。2024年、東洋経済新報社入社。スマート農業、工作機械にも関心。最近は都内の立ち食いそば店を開拓中。

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