「エヌビディア」好決算でも市場が満足しない背景 焦点は「ブラックウェル」が計画通り出荷されるか

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同社は昨年来の米国の株式相場上昇を牽引した「AIブーム」を象徴する銘柄である。データセンター向けのGPUではシェア8割超。企業などの経営効率化に伴うデジタル・トランスフォーメーション(DX)需要増の強烈な追い風が吹く。

とくに生成AIは高度な処理能力を備えたGPUが必要で、データセンターに置かれたサーバーなどへの搭載が進む。5~7月期のデータセンター向けの売上高は前年同期の約2.5倍の263億ドルに拡大した。

好業績を背景に、「マグニフィセントセブン」(GAFAMにエヌビディアとテスラを加えた「荒野の7人」銘柄)の中でも株価パフォーマンスが突出する。昨年は3.4倍の上昇を記録。2022年10月の安値11ドル22セントに対して、今年7月の終値は134ドル91セントと実に12倍の水準に跳ね上がった(いずれも権利落ち調整後の株価、以下同)。

米国市場随一の「スター銘柄」の5~7月期決算を他国も注視。日本のマーケットも例外ではなく、発表前までは模様眺めの状態が続いていた。東証プライム市場の売買代金は20日以降、7営業日連続で4兆円割れを記録。27日には3兆2000億円あまりと6月20日以来の低水準に落ち込んだ。

前週は米カンザスシティー連銀主催の経済フォーラム「ジャクソンホール会議」でのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演内容に注目が集まったが、売買代金は今週に入って一段と減少。多くの市場関係者の関心がむしろ、エヌビディアの5~7月期決算へ向けられていたことを物語る。

「ブラックウェル」の出荷時期が焦点

そうした中で、市場の同社への期待はいささか高すぎた感が拭えない。エヌビディアの株価は7日に98ドル91セントと1カ月足らずで27%の値下がりを演じたが、その後は急反発。急落前に近い水準まで一気に値を戻した。「次世代チップ『ブラックウェル』の出荷がズレ込んでも前の世代の『ホッパー』で相殺が可能」。こうした楽観的なムードが市場を覆っていた。

一部の市場関係者が気をもんでいたのは、今年3月に発表していた「ブラックウェル」の出荷時期だった。フアンCEOはこれまで「5~7月期」との見通しを示していたが、発売のタイミングの遅れが懸念されていた。

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