ロシア政府は9月1日から、中央銀行の許可の下で、特定の企業によるデジタル通貨での貿易決済や為替取引を正式に容認する。それと同時に、個人間での暗号資産の取引に対しては厳しい制約を課す。つまりロシアは、暗号資産に対するコントロールを強め、それを大口の貿易決済に限定して利用するように規制を強化するわけだ。
貿易決済の停滞で暗号資産に目をつける
こうした措置をとる最大の理由は、貿易決済の停滞にある。現在、ロシアと中国など貿易相手国との間の決済には大幅な遅れが生じている。昨年12月にアメリカが2次制裁を強化したことを受けて、貿易相手国の金融機関がその対象に認定されないよう、ロシアとの取引を回避しているためだ。そこでロシアは、暗号資産に目をつけた。
統計上でもロシアの貿易は停滞しており、最新4〜6月期の輸出は前年比1.3%増と小幅なプラスにとどまるとともに、輸入は前年比8.2%減と、3四半期連続で前年割れとなっている。高い伸びだった前年の反動というベース効果以上に、決済の遅れが貿易、特に輸入の停滞につながっていることは、ロシア自身が認めるところである。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら