パナソニックにすべてを結集して世界で勝つ

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--経営理念が変わるのか、ということですね。
 
 まったく新しいものになるのかと。もちろん、経営理念は不変で、創業者の経営理念をベースにした製造業としてのパナソニックに何も変わりはありません。ただ、本当にグローバル・エクセレンスを目指して、全社員の力を結集するには不可欠なんですと。そういった説明をして、その場で、ご理解をいただきました。
 
--そうであっても、大坪さんは大きな十字架を背負ったわけですよね。グローバルな再成長の軌道に乗せられなかった時には……。
 
 ご指摘のとおりです。松下、ナショナルという名前、ブランドを手放すことは大きな決断です。これからは手放すもの以上の価値を、みずから力強く生み出していく責任がある。すでに成長のための取り組みを世界中で始めていますが、2009年度には、何としてもGP3で掲げた数字を達成すると。これをやるというのがいちばん大事なことです。だから、私としては、むしろ今からが本当に大切なんだと思っています。
 
--世界で勝つには、パナソニックのブランド力をもっと上げていく必要がありますね。米国のコンサルタント会社が発表しているランキングを見ても、ソニーやサムスン電子とは大きな開きがあります。
 
 あれを見ると、いつも嫌になるんですよ(笑)。ずっと70位台ですよね。ソニーは20位よりもっと上の年もあるし、サムスンは10年ぐらい前はうちよりずっと下だったのに……。もちろん、実際の商品や顧客サービスでブランド力を上げる努力をするのがいちばん重要なことですが、これだけ努力しても順位が上がらないというのは、社名と二つのブランドというところにも一つの要因があるのかもしれません。
 
--社名変更について、最初に相談したのは中村さんですか。
 
 もちろんそうです。最初に行った。「ええなあ、特に若い人、元気出るやろ。頑張ってくれ」と。本当に1分程度の会話。
 
--その中村さんの時代、松下は実質ゼロ成長でした。
 
 大きな赤字と抱えていた山ほどの課題を中村さんに全部解決していただいて、強い体質にしてバトンタッチを受けたわけですよ。中村改革がなく、いろいろな問題を抱えたままだったら、今やっている成長戦略なんて打ち出せない。そのように経営とはずっとつながっているんです。
 
 中村さんはああいう寡黙な方ですから、社長交代の時も引き継ぎは、「松下(という会社)を変えてくれ」の一言だけ。やはり、まだまだ変えなくてはならないんですよ。中村さんの時代に作った強い体質をベースに、われわれは本格的な成長にチャレンジする。松下をよりグローバルに大きく成長させる。それが私の役割であり、使命だと思っています。
(週刊東洋経済編集部)

おおつぼ・ふみお●1945年生まれ、71年関西大学大学院修了、同年、松下電器産業に入社。2002年からテレビなどAV機器を統括する社内分社パナソニックAVCネットワークス社社長を務め、プラズマテレビやデジカメなどのヒット商品を輩出。06年6月から現職。

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