福島 嘘と真実 高田純著

福島 嘘と真実 高田純著

札幌医科大学教授である著者は4月上旬、福島を中心に東北各地の放射線量と住民の被曝状況を調査した。そして、福島第一原発に近い浪江町からの避難者40人の平均甲状腺線量は、チェルノブイリ被災者の1000分の1以下であり、甲状腺がんのリスクはないと明言している。自らも原発正門前などを普段着で調査して回ったが、福島3日間の積算被曝量は0・1ミリシーベルトにすぎなかった。

世界の核被災地を調査した実績から、チェルノブイリと福島の汚染度には決定的な差があるという。不安を増幅させるばかりの学説や報道があふれる中、放射線防護学の専門家としての落ち着いた筆致には説得力がある。被曝線量を6段階に分けて危険度を説明する手法は明快で、広く利用されてしかるべきだ。一方で、安定ヨウ素を配給せず、甲状腺検査も行わず、家畜の避難を怠り、放出放射能の算定過程を示す報告書すら公開しない政府への非難は鋭い。見逃せない一冊。(純)

医療科学社 1260円

  

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成長を確実にする組織の根幹を成すのが、研究開発と人事である。研究開発体制は2015年4月、各研究所に横串を通し、顧客起点の組織に生まれ変わらせた。人事制度もグローバル化がほぼ完了。踊り場から飛躍へ、日立の地固めの様相を追う。