危機を超える経営 伊藤邦雄著
リーマンショックをしのぎ、むしろそれをテコにして、潮流変化にうまく適応した日本企業が存在する。その共通項は何かを探り、モデル化して、日本企業の活路を見出そうとしているところに新しさがある。
その類型は、「超ものづくり高付加価値モデル」「新興国最適化モデル」「差異恒常化モデル」に集約できるという。2大潮流変化を「新興国市場の重要性増大」と「技術力による差異化効果減少」ととらえた結果だ。
例示される企業は、ものづくりを捨てずに、生産自体を他企業に委ねて、変化を超越したキーエンス、自社の戦略を新興国に合わせることで大きなプレゼンスを発揮するユニ・チャーム、GPS機能をすべての建設機械に標準装備させたコマツなどだ。
日本企業で苦戦を強いられているのは、デジタル化に直撃されたエレクトロニクス産業にとどまらない。いずれも復権の道は平坦ではないが、本書には豊富なヒントが詰まっている。
日本経済新聞出版社 1890円
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