子どもは「容姿を磨くよりも勉強すべき」と言う大人に知ってほしい「装う」意味 外見を気にすることが「成長の機会」になるワケ
しかし、もし外見で評価される社会であれば、「勉強をしないで外見を磨きなさい」となるはず。今の社会では、相対的に勉強ほど外見が重視されていないため、子どもがおしゃれにハマると親が心配しますよね。いわば、社会や親の都合で「勉強しなさい」と言っているわけです。
それに、例えば「吹き出物があっただけで一日中落ち込む」といったことは昔からあること。今の子に限らず、若い頃は外見を気にするものですよね。もちろん、それが長期にわたって日常生活に支障をきたすのであれば問題だと思いますが、外見を気にすること自体は10代ではむしろ自然なことです。
――外見を過度に気にしたり、装ったりする中で生じるネガティブな影響もあるのでしょうか。
子どもは皮膚の構造や免疫システムが未熟ですから、皮膚トラブルを起こしやすく、アクセサリーや化粧品で皮膚がかぶれることがあります。さらに、成長期の子どもがダイエットのしすぎで体調不良になるなど成長が阻害されるのも問題です。
――ダイエットに関しては、親からの影響も大きいんですよね。
実際に子どもが痩せているか太っているかは関係なく、親が態度や言動などで「太っているのはよくない」「痩せていたほうがいい」というプレッシャーを与えると、子どもは自分の身体に不満を持ち、「痩せたい」と思うことが調査でも明らかになっています。とくに、母親から娘への影響が強いようです。しかし、いくらその人の価値観だといっても、子どもの成長に問題が生じるほどの親の痩せ信仰はよくないですね。
痩せたいという思いが強すぎて、ダイエットを繰り返すと、摂食障害(体重を気にして極端な食事制限をして必要な量を食べられない、あるいは過剰に食べて体重増加を防ぐために嘔吐を繰り返すなど、食事のコントロールが難しくなる病気)になるおそれもありますから注意が必要です。
「子どもの美容整形」はリスクが大きい
――最近、子どもの美容整形が話題になっています。子どもに美容整形したいと言われたら、親はどう対処すべきなのでしょうか。
低年齢の美容整形には身体的な面をはじめ、さまざまなリスクがあります。成長してどう変化するかはわかりませんし。日本では保護者の同意があったうえで医師がやろうとすれば美容整形を受けられてしまいます。ただ、子どもの場合はどこまでが自分の意思で、どこからが親の考えなのか、線引きが難しいもの。数年後に振り返ったとき、「自分は本当はやりたくなかった」と気付いて親子関係がこじれる可能性もあります。
子どもは判断力が成熟しているとは言えませんから、大人が止めないと、勢いで美容整形を受けて後悔するということもあり得ます。自分できちんと判断し、責任が取れる年齢になるまでは避けるべきでしょうし、日本で美容整形を受けられる年齢についてルールがあったほうがいいと考えています。
――美容整形に限らず、「装うこと」について子どもと話し合うときのポイントは。
悪手なのは頭ごなしに否定し、叱ること。大切なのは「何がいけないのかを親がきちんと説明したうえで、子どもと話し合ってルールづくりをする」ということ。それには普段から親子の関係性がきちんと築けていることが重要です。でも、これはメイクに限ったことではなく、お小遣いやスマートフォン、ゲームの使い方にしても同じですよね。なお、おしゃれに興味を持った子どもを親がからかうのもよくないです。

















