KADOKAWA元会長が決意、「人質司法」との闘い 『人間の証明』角川歴彦氏に聞く

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[著者プロフィル]角川歴彦(かどかわ・つぐひこ)/1943年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、1966年角川書店入社。角川書店社長、角川グループホールディングス会長、KADOKAWA会長などを歴任。角川文化振興財団名誉会長(現任)/(撮影:今井康一)
逮捕された後、自白をせず、無罪を主張したり黙秘したりすると拘置所での身体拘束が長期化する「人質司法」。2022年9月に東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で逮捕され、226日間におよぶ勾留生活を経験したKADOKAWA元会長の角川歴彦氏は、その非人道性と違憲性を訴える。
人間の証明 勾留226日と私の生存権について
『人間の証明 勾留226日と私の生存権について』(角川歴彦 著/リトル・モア/1320円/136ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

――本書のタイトル『人間の証明』は、2023年7月に亡くなった作家・森村誠一氏のベストセラー小説で、兄の角川春樹氏が手がけた角川メディアミックス(書籍出版と映画公開の相乗効果を狙う)の第2弾のタイトルでもあります。

当時、僕は販売責任者でした。全国縦断サイン会を企画し、全国の書店を先生と一緒に回った思い出のある作品です。

僕は拘置所の中で基本的人権、人間の尊厳を冒されていると思ったわけで、どうしても人権を問題にしたかったんです。ところが、人権という言葉は非常に遠く感じます。

今回、本の内容が保釈条件に引っかからないよう弁護士に見てもらったところ、若い弁護士が『人間の証明』はどうですかと。でも、森村先生の作品はあまりにも偉大すぎて、ちょっとおこがましいような気がしました。

それで(森村氏の)奥様のところにごあいさつに行ったら、「ちょうど明日お墓に納骨しようかと思っていたんです。もう1回仏壇に、森村を見てやってください」と言ってくださった。僕は「実は本を出したいと思っていて、『人間の証明』という題を考えていたのだけれど、どうでしょうか」と。

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