
襲撃時のトランプ氏の姿は何度も報じられ、メディアは同氏のイメージ戦略に図らずも加担してしまう結果となった(写真:Getty Images)
米国の大統領選挙は、ジェットコースターのようなスリリングな様相を呈してきた。その中であらわになったのは、トランプ前大統領のイメージ操作にメディアも含めた大衆がいとも簡単に丸め込まれるという点だ。
何といってもそのピークは7月13日にペンシルベニア州で起こったトランプ氏襲撃事件だ。選挙演説中に自分の右耳を銃弾が貫いたことに気づいたトランプ氏は、しばらく演壇の裏で身を低くしたものの、次に立ち上がった際には拳を上げ、「闘え」と叫んでいた。
驚きからだろう、表情には崩れがあったが、耳から血を流しながらも不屈のポーズを見せたその一瞬がカメラマンに捉えられた。その後、何日もその姿が世界中で報じられた。確かに恐怖の中で果敢にも拳を上げたことは、同氏のリーダーシップの強固な意志を感じさせる。ただ、そのポーズは一度では済まず、車に押し込まれるまで何度も繰り返され、そのたびにシャッターが切られたのだった。
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