明治安田、「過去最高額」で米生保を買う狙い 堅実生保も"高値"買収に駆り立てられたワケ
日本の生命保険業界第3位、明治安田生命保険が約6200億円で米中堅生保のスタンコープ・ファイナンシャル・グループを買収すると発表した。2014年6月に発表された第一生命保険による米プロテクティブの買収額約5800億円を抜く、日本の生保で過去最大の海外事業の買収になる。
スタンコープ社は団体生命保険で米国8位、団体就業不能保険で第5位、安定成長性、ROE、財務の健全性などで高水準を誇る。顧客や収益安定性を重視するなど経営理念などが「ほぼ同じ」(殿岡裕章・明治安田副社長)点でも両経営陣が共鳴し、買収に至った模様だ。明治安田は2014年度からの3年間で2500億円の投資枠を設け、10年後には海外利益を全体の1割に拡大するの目標だが、この買収でスタンコープ社の当期利益260億円が上乗せとなり、その達成が視野に入る。
円安で買収額が膨らんだ
ただこれだけの巨額案件のわりに、内外の反応は冷めている。実は、ドルベースでの買収額は49億9700万ドルと、第一生命によるプロテクティブの買収額57億0800万ドルを下回る。円換算ベースで最大になったのは、ここ1年間で2割も円安が進んだ結果だ。明治安田はその分多く払うことになる。
「過去の日系保険会社の買収例から見て一定の範囲内だ」(殿岡裕章副社長)と言うが、ドルベースでの買収額の割高感も強い。買収対象の過去1か月の平均株価に対し、買収価格にどれだけ上乗せをしたか(プレミアム)を見ると、第一生命の35%に比べ今回は50%。東京海上ホールディングスが今年6月に発表した米損保HCCインシュアランス・ホールディングス買収のプレミアム36%に比べても、明治安田が払うプレミアムは大きい。純資産対比(PBR)でも第一生命が1.29倍、東京海上が1.90倍なのに対し、明治安田は2.24倍だ(すべて買収発表時のリリースベース)。
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