甲子園、大谷翔平の初戦突破を阻んだ「2つの壁」 多くのメジャー選手たちも涙をのんだ夢の舞台

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大阪桐蔭との初戦は序盤から制球を乱す。5回表まで無失点も、85球を要した投球が物語るように苦しいマウンドだった。投球時に上体が一塁側へ傾く。踏み込む左足はインステップになるなど、投球フォームは崩れた。

「ここまでの四死球は初めてです。初回から状態が悪くて、試合中も修正ができなかった」。

9回途中まで投げて7安打11四死球で9失点。150キロを計測する中で11奪三振と、その秘めたポテンシャルは随所で見せたが、チームを勝利に導くことはできなかった。

7回までに13奪三振の好投も8回に「力尽きた」松井裕樹

2012年夏 準々決勝 光星学院 VS. 桐光学園

「神奈川のドクターK」と呼ばれた桐光学園の松井裕樹(パドレス)は、今治西との1回戦で10者連続を含む22奪三振の大会記録を樹立していた。

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2年生最強左腕と強打・光星学院(現・八戸学院光星)との対決が注目される中、光星学院は1回表、先頭の天久翔斗が左翼フェンス直撃の二塁打を放つ。だが、村瀬大樹は見逃し三振。3番の田村龍弘(ロッテ)は、徹底したインコース攻めにあい、最後は膝元に鋭く落ちるスライダーで空振り三振。4番の北條史也(元阪神)は、1ボール2ストライクからの内角直球にバットが空を切り、3者連続三振で無得点に終わった。

松井は、7回表を終えた時点で13三振を奪う。だが、両校無得点の8回表。左腕は8番・木村拓弥の中前安打を起点に二死一、三塁とされると、田村に左前適時打を浴びた。さらに、「この夏、バットを短く持ったのは初めて」と語った北條には、左中間への2点二塁打を浴びて失点を重ねる。田村が松井を語る。

「もともと左投手は得意ですが、(松井の)膝元に入ってくる縦のスライダーはすごかった。1打席目で正直、自信をなくした。でも、3打席目(右飛)から目が慣れて、最後の4打席目は打てる自信があった」。

一方、光星学院のエース・金沢湧紀は散発3安打で完封。「今日の勝利は金沢の好投に尽きる」とは仲井宗基監督。光星学院が難敵を攻略して、ベスト4進出を決めた。

佐々木 亨 スポーツライター

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ささき とおる / Toru Sasaki

1974年岩手県生まれ。スポーツライター。雑誌編集者を経て独立。著書に『あきらめない街、石巻 その力に俺たちはなる』(ベースボール・マガジン社)、共著に『横浜 vs. PL学園 松坂大輔と戦った男たちは今』(朝日新聞出版)、『甲子園 歴史を変えた9試合』(小学館)、『甲子園 激闘の記憶』(ベースボール・マガジン社)、『勝利の伝導者』『王者の魂』『あたらしい風』『永遠の刻』(日刊スポーツ出版社)などがある。主に野球をフィールドに活動するなかで、大谷翔平選手の取材を花巻東高校時代の15歳から続ける。

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田尻 賢誉 スポーツライター

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たじり・まさたか

学習院大学卒。ラジオ局勤務の後、スポーツライターに。著書多数。近著に『力を引き出す高校野球監督の名言』(ベースボール・マガジン社)。

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