甲子園、大谷翔平の初戦突破を阻んだ「2つの壁」 多くのメジャー選手たちも涙をのんだ夢の舞台
主将を務めていた高橋だが、夏の大会は不祥事を起こしベンチ外。本当に「今までで一番」がこの本塁打になるところだったが、阪神に拾われた。
ちなみに、4番・鵜久森淳志(元ヤクルトほか)も3回に2ランを放っている。打球はくしくも登板できなかったダルビッシュの頭上を飛んでいった。
「危ない状況になったら登板させると言われていました。自分としては行くつもりでいました」。
つもり、ではなく行っていれば……。
不調の9番打者への「1球に泣いた」菊池雄星
もし、あのとき──。たった1球に、2つの「if」が重なった。
0対0で迎えた7回裏一死一塁。打席には清峰の9番・橋本洋俊が入った。今大会12打数2安打と調子はよくない。カウント1-1からの3球目。花巻東・菊池雄星(ブルージェイズ)が投じたのはストレート。この日最速の144キロ。
だが、内角を狙ったのが甘く入った。「ストレート一本に絞っていた」という橋本にはおあつらえ向きの絶好球。フルスイングした打球はセンターの頭上を襲った。懸命にバックする佐藤涼平。だが、無情にも白球は頭を越え、決勝の二塁打になった。一死一塁。通常なら長打警戒の守備位置をとる場面だ。それが、このときは違った。
「清峰打線はそんなに振れている感じはしませんでした。後ろ(の打球)は自信ありますし、前に落ちて走者がたまるのが嫌でした」(佐藤)
相手は不調の9番。投げているのは菊池。まさか長打はないという考えがあったのも事実だった。だが、連投のうえ、5試合目の登板。「ひじに張り、重みがあった」状態だけに、橋本が苦手なスライダーを選択していれば……。
菊池は「一番練習してきたまっすぐを打たれたので悔いはないです」と言ったが、40回3失点のうち、悔やんでも悔やみきれない1点になってしまった。