建設機械「三国志」--巨大市場・中国の覇者は誰か!? 

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ゲームはこれからだ 巨人キャタピラーの反撃

歪んだ実態を抱えつつ、三一の強気の拡大戦略は続く。12年初には上海で年産4万台規模の油圧ショベル工場が竣工。既存工場と合わせると、生産能力は今後5年程度で8万台に倍増する。国内で安定首位を目指すとともに、新興国を中心とする海外市場にも打って出る。成長のボトルネックである基幹部品の調達にも策を講じ、川崎重工業(油圧機器)やいすゞ自動車(エンジン)と大量取引契約を結んだと伝えられる。

建機業界において、米国キャタピラーは堂々たる王者だ。売上高は3兆5000億円(10年度)、足元の時価総額は5兆円を突破している。このガリバーが意外にも、中国では長く影が薄かった。改革開放経済前の1970年代に“上陸”したが、足元のシェアは6%前後で推移。業界7番手のポジションだ。

コマツと並んで業界最高とされる品質は、中国でも高く評価されている。上海市で04年に竣工したF1サーキット場。この建設現場ではデベロッパーの意向で、ほぼすべての建機がキャタピラー製だった。わずか100日という短い工期でプロジェクトを完成させるために、故障が少なく稼働率の高い建機が求められたからだ。建設現場で機械のブランドまで指定されることは珍しく、キャタピラー神話として伝えられている。

また、代理店網は業界随一だ。90年代にキャタピラーは東南アジアなどの五つの優良代理店を中国に呼び込み、それぞれの資本力を生かして販売網を構築させた。コマツなど同業が地場の企業を地道に開拓したのとはまったく異なる、投下型の地ならしを行った。

このうち、販売数量が最も大きい上海など華東地区には、抜きんでて実力のある代理店を置いた。香港企業の利星行機械は、キャタピラーの要請で95年に中国に進出。現在は上海市と周辺6省に販売店やサービスステーションなど148拠点を構える。江蘇省昆山の本社には、「中国全土でもここだけ」(ローレンス・ポー社長)という、油圧液を化学分析し機械の劣化状況を調べる設備が備えられている。これも代理店の自腹投資である。「パートナーの投資がキャタピラーの成長を助けてくれる」(成長市場グループプレジデントのリチャード・ラビン氏)。

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