M-1常連さや香「次はコント」"見せ算"からの進化 TVも重視、「令和の視聴率男になりたい」発言も

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2021年、さや香はM-1で準決勝進出を果たし、ようやく壁を打ち破る。惜しくも敗退したが、敗者復活戦で「か・ら・あ・げ、4(よん)!」をひたすら繰り返すネタで強烈なインパクトを残した。

もう1つ、注目すべきは同年の3回戦でボケとツッコミを入れ替えた点だ。

2021年の予選会場でのインタビュー中、この件について石井が「“通達”っていう形で僕は言われた」と答えると、新山が「悪いことちゃうやんけ」「“通達”みたいなのもうやめよう」と指摘し、軽い口論になったシーンが印象深い(『M-1グランプリ2022アナザーストーリー』<ABCテレビ・テレビ朝日系>より)。

翌2022年は、石井がボケ、新山がツッコミにスイッチした漫才を仕上げて準優勝。2023年は2年連続で1stを1位で通過し、ファイナルステージで新山が独壇場でしゃべり続けるネタ「見せ算」を披露して3位になったのは周知のとおりだ。

東京ではコント優先、先がわからない面白さ

2024年のM-1も優勝候補として期待されているが、前述の『ナイツ ザ・ラジオショー』の中で新山は「漫才ほぼ9、コント1ぐらいでやってたやつを、コント9にしてみたい」「2年ぐらいそれで頑張って、あかんかったらすぐ全力で漫才頑張る」と直近の展望を語っていた。

ラストイヤーまで猶予があること、いまだ「見せ算」の印象が強いこと、コント師が多い新天地で芸の幅を広げられることなど、その選択には複合的な理由があるのだろう。

とはいえ、実際にはM-1にエントリーすることも考えられ、もしそうなれば自信作を披露する可能性が高く、それはそれで楽しみでもある。

「仲がいい」「傷つけない」といった安定感のある芸風が支持される昨今、珍しく先がわからない面白さを感じさせるのがさや香だ。今後の動向にもぜひ注目していきたい。

鈴木 旭 ライター/お笑い研究家

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Akira Suzuki

2001年から東京を拠点にエモーショナル・ハードコア/ポストロックバンドのギターとして3年半活動。脱退後、制作会社で放送作家、個人で芸人コンビとの合同コント制作、トークライブのサポート、ネットラジオの構成・編集などの経験を経てライターに転向。現在、『withnews』『文春オンライン』『現代ビジネス』『FRIDAYデジタル』といったウェブ媒体、『週刊プレイボーイ』(集英社)などの紙媒体で記事執筆中。著書に著名人6名のインタビュー、番組スタッフの声、独自の考察をまとめた『志村けん論』(朝日新聞出版)がある。

 

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