20年ぶり再会の「元カノと結婚」した彼が語ること お互いに「紆余曲折すぎた社会人生活」の末に選択

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そんな祐樹さんには8年間も付き合った恋人がいた。友人の結婚式で知り合った同世代の女性で、文系の分野で研究者を目指している大学院生だった。

「試験勉強をせずにゲームばかりするようになって、不信感を持たれたのだと思います。彼女は結婚したかったようなのでもっと早くに別れるべきでした。あの頃の僕は完全に病んでいました……」

自己否定と現実逃避が続く日々

千葉県の実家に住んでいる母親が倒れたのをきっかけに目が覚めた祐樹さん。34歳のときに小さな電気工事会社の社員になり、印刷会社に転じてWEBサイト制作の仕事をするようになった。サービス残業続きの過酷な職場だったこともあり、「彼女が欲しいな」と思いつつも結婚生活をイメージすることはできなかったと振り返る。

「僕は経済的にも社会的な地位でも一人前になれていない、結婚相手に責任を持てないという意識が強かったです」

ほんわかした雰囲気の祐樹さんだが、内面では「こんなはずじゃない」と自己否定と現実逃避を続けていたのだろう。そんな状況に光を与えてくれたのは、大学時代の同級生である「Tくん」だった。

「僕も(彼女の)堀井(和美)さんもTくんとは卒業後もゆるくつながっていて、久しぶりに3人で会うことになったのです。都内の観光スポットを巡るはとバスツアーに参加してみようという話になり、現地で待ち合わせ。集合時間ギリギリになって焦って走ってくる女性の姿を見て、遠目にも堀井さんだとわかったんです。学生時代と全く変わっていないので……」

その和美さんが台所仕事を終えて、千葉の地酒を片手に食卓についてくれた。グレイヘアは年齢相応だが、肌艶がよくて少女っぽい雰囲気の細身の女性だ。大学卒業後は大手企業に就職。人間関係に恵まれ過ぎて先輩社員と恋に落ち、「授かり婚」をしたのが25歳のときだった。

「後から知ったのですが、彼には婚約者がいたそうです。私は知らずに略奪婚をしてしまったのですが、娘が3歳のときに彼から『好きな人ができたので離婚してほしい』と言われました。その浮気相手も職場の同僚でした……」

その後は職を転々としながらシングルマザー生活をしていた和美さん。「一人娘とベッタリの関係になるのは避けたい」という思いもあって、男性と交際することもあったが、再婚には至らなかった。

「私には遅刻癖があります。1時間も2時間も遅れても怒らずに待っていてくれるのは最初の彼氏だった祐樹さんだけでした。他の人はそんなに待ってくれません」

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