能登半島地震、被災地で見た「地域の足」の現状 各社連携し運行、復興のカギは「現地への関心」

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今回取材した2社では、輪島市内にある北鉄奥能登バス本社が、「揺れで車両がぶつかったり、道路の損傷により一時入出庫が不可能となったりしており、整備工場は解体が決定した」とのことだった。

北國銀行の話では、七尾市以北の6市町の事業者の再建はこれからとのこと。また北陸鉄道では、大型連休を利用して解体前の実家を見に戻ってくる人もいるという話が出てきた。さらに言えば、金沢から輪島に通じる道路は、今も通行止めの箇所があり、現時点で大型車が通れそうな道は1本しかない。

年始という発災時期や細く長い能登半島という地勢を考えると、阪神・淡路や東日本と直接比較するのではなく、この地震ならではの事情を汲んだうえで対応すべきではないかと、現地で教えられた。

人員配置にも影響が出ている

ここまで物的な被害を紹介してきたが、北國銀行、北陸鉄道ともに、最初に話していたのは人的な被害だった。

双方ともに死者や重傷者は出なかったものの、2次避難によって職場を離れざるを得なかった人、避難所から業務に向かう人など、さまざまな苦労があることが理解できた。

当然ながら従来のような人員配置は難しく、「穴水支店は火曜日と金曜日の10〜14時、富来支店は毎週火曜日の9〜12時の営業」(北國銀行)とのことであり、今後も町役場内で営業を続けていくかどうか、議論していくという。

バスもそれ以前から顕在化してきた運転士不足が加速したような状況であり、道路状況もあって当初は運休を余儀なくされた。

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