取材依頼が絶えないスーパー、名物社長の潔い決断 年間300本以上のテレビ取材をこなす青果のプロ

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ところが2022年にOICグループの髙木勇輔社長と話をした際、「アキダイはアキダイのままでいいのでうちに来ませんか」と言われました。既存店舗はそのままで従業員を異動させないといったこちらの条件を全部受け入れてもらい、15分で話がまとまりました。

もともと髙木社長の、みんなが喜ぶ、やりがいのある会社をつくりたい、という考え方には共感していました。会社を大きくすることが目標ではなく、あくまでもみんなをよくするために会社を大きくする。その重要な部分が一致していたからこそ、迷いなく決断できたんだと思います。

株式はすべて譲渡したが…

──OICグループの傘下に入ってどんな変化がありましたか。

アキダイの既存6店舗はそのままです。スーパーバリュー、ロピア、アキダイのコラボ店2店舗が加わり、アキダイとしては8店舗になりました。アキダイの株は全部譲渡しましたが、私が代表取締役社長で経営権も持っています。

またグループの青果アドバイザーとして、若い人たちをアキダイで預かりノウハウを教えています。

ロスを出さずに売り切って儲けを出そうと思ったら、仕入れの量や買値、天候といったさまざまなことを考えなくてはいけない。大規模なロピアでは学べない「小さい商い」、商人の心をアキダイで伝えていこうと思っています。

ロピアからの出向社員に青果の仕入れを市場で指導する秋葉社長(写真:編集部撮影)

──アキダイのプライベートブランド(PB)も始めましたね。

生産者を応援したい思いもあり、おすすめの青果をPBとして展開しています。これはOICの資金力があるからできたことです。

仕事は今まででいちばん忙しい。譲渡前は経営者としてやや停滞していたのですが、今はアキダイの売上高を100億円にしようとか、教育のやり方をもっと工夫したいとか、新しい欲も出てきた。

アキダイの若い従業員たちも将来の不安がなくなって、プライドを持って仕事を頑張ろう、と目がキラキラしています。事業承継を決めて本当によかった、と1年以上経って改めて思っています。

(構成:勝木 友紀子)

※中小企業の経営者・幹部593人へのアンケート結果はこちら

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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