うつ病になっている人の脳内では、神経伝達物質のセロトニンなどの働きがうまくいかなくなることが知られている。1980年代末に欧米で開発されたSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)は、シナプス間のセロトニンを増やすことで抗うつ作用が得られるというもので、今日も精神科でのうつ症状の治療に広く用いられている。
英国出身のジャーナリストである著者は、10代の頃からうつ症状に悩まされてきた。90年代、医師からうつ病の原因は脳内物質の不均衡とセロトニンの分泌不全であり、SSRIはその画期的な治療薬であるという説明を受けた。当時の著者は「あなたの病気の原因は脳内にある」との説明に一種の救済を感じてSSRIの服用を盲信しながらも、回復しないうつ状態と不安に長年苛(さいな)まれ続けた。
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