与野党ダメダメで韓国政治が混迷していく理由 尹錫悦大統領も最大野党も抱えるさまざまなリスク

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憲法で大統領は再選できない韓国にあって、尹大統領に残された任期は約3年。解散がなく4年ごとにある総選挙は、次期大統領のもとで迎えることになる。与党内のみならず、各省庁の実務当局者への統制も、これまでのようにはいかなくなってくる。

過半数を大きく上回る175議席を得た「共に民主党」だが、こちらも今後の党内運営では不安がないとは言えない。圧勝の勢いを結束に変えられるかどうかが焦点となる。

巨大野党は早晩、尹大統領の最大の弱点である金建希夫人問題の追及を本格化させるだろう。

大統領夫人の疑惑も拡大か

金夫人には、知人が経営するドイツ車の輸入販売会社の株価操作に関与した疑惑がずっとくすぶっており、野党は独立した特別検察による捜査の必要性を主張してきた。2023年12月には関連法案がいったん可決されたが、翌月に尹大統領は拒否権を行使した。

大統領が拒んだ法案を再可決するには、議会の出席議員の3分の2が賛成する必要がある。つまり200議席あれば理屈として覆せる。

今回の選挙結果を受け、野党勢力がまとまったとしても10数席足りない。しかし、先述のように与党内で尹大統領に対する反発が出ており、一定数の造反が出かねないとみられている。

金夫人を絶対に擁護してきた尹大統領のふるまいを考えると、もしそういった事態になれば、尹政権は求心力の低下というレベルではないほどの大混乱をきたす可能性がある。

ただ、「造反」といえば李代表はすでに手痛い仕打ちを経験済みだ。巨額の都市開発事業をめぐる背任罪など多くの罪で起訴されている李代表は2023年9月、北朝鮮に対する不正送金に関与した疑いなどで逮捕状を請求された。

国会会期中の議員にはいわゆる不逮捕特権がある。巨大野党を仕切る李代表への逮捕同意案は本来、否決されるはずだったが、「共に民主党」から造反者が続出し可決されてしまった。

その後、裁判所の判断で身柄の拘束は逃れたものの、李代表に対する党内の反発を象徴する出来事となった。

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