東大受かった子に学ぶ、合否を分けた「僅かな差」 試験で最後の最後まで全力を出し切れたか?

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いかがでしたか? 厳しいながらも愛のある説教の場面でしたね。実は僕が指導している生徒の中にも、漫画で描かれたのと同じような状況に陥っている子がいました。

今年の東大受験の1週間前に、生徒の1人が「来週受験だから、ここらへんで過去問の勉強は切り上げて、復習とかリフレッシュに時間を使おうと思うんですけど、どうですか?」と言ってきたのです。その子は、成績はかなり上がってきた生徒だったのですが、メンタルに不安定な部分がある子でした。

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「なんで過去問を解きたくないの?」と聞くと、「もしできない問題があったときに、自信をなくしてしまいそうなので」と言われました。

それに対して僕は、「それは絶対によくない」というアドバイスをしたのです。もちろん、過去問の中には難しい問題もあるでしょうし、解けるか・解けないかギリギリの問題もあるでしょう。

間違えてしまって、後から振り返ったら「この問題、解けたはずなのに、惜しかったな」と思う問題もあるかもしれません。そういう問題を解くと、自信がなくなってしまうこともあると思います。

解けるか・解けないか微妙なラインの問題こそ対策を

でも、そういう問題こそ、いちばん対策するべき問題なのです。自分が解ける問題を解いていても、成績は上がりません。自分が解けるか・解けないか微妙なラインの問題こそ、本番で合否を分ける問題です。

解いていてくじけそうになっても、勇気を出して対策することで、合格できる可能性が高まるわけです。

だからこそ、僕はその生徒に対して「最後の最後まで、過去問・そして自分の弱点から、逃げないほうがいい」というアドバイスをしました。

彼も「たしかに、もう泣いても笑っても1週間後ですもんね! わかりました! 勇気を出します!」と言いました。

結果として、その生徒は東大に合格しました。もちろんこのアドバイスが正しかったからだ、と言うつもりもありませんが、僕は合格したと連絡を受けたとき、真っ先に感じたのは、「勇気を出します」と言い切ったあの力強さが、彼を合格に導いたのではないかということでした。

最後にモノを言うのは、勇気なのではないかと思います。最後の最後に気を緩めてしまったり、最後の最後で少しでも諦める気持ちがあった人は不合格になってしまいます。

逆に、諦めずに最後まで頑張り続けた人こそが、合格を手にすることができるのではないかと思います。彼ら、彼女らの姿から、みなさんの参考になる部分があればうれしいです。

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西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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