蕨市立北小学校、校内研究を「フェス」形式で開催したら変わったこと 「やらされる」から「やりたくなる」校内研究へ
全体会のあとの庄子氏による講演会は、参観者が聴くだけのスタイルでなく「参加型講演会」。庄子氏が研究発表の振り返りを行いながら、「北小の研究発表をみてどう思った?」「校内研究で『楽しい』って、なんですか?」などの問いを掲げ、参観者同士で活発に意見交換を行った。熱気に包まれた「北フェス」は、大盛況のうちに終了した。

教職員が主体的に学ぶ姿が児童に伝わった
「繰り返しになりますが、『これまでの校内研究はよくない』と、言っているのではありません。『校内研究のスタイルに正解はないけれど、私たちはこんなスタイルでやってみました。いかがでしたか?』と、提案したかった。それが皆さんに伝わったと思います」という松原氏。
「これまでの当たり前を考えると型破りな校内研究だったと思いますが、準備も当日も、本当に楽しかったです。ただ、僕たちがこれだけ楽しむことができたのは、何があっても『大丈夫よ』と言ってくださる校長先生がいたからこそ。今回の研究を通して失敗を怖がらなくなったのは、自分の中で大きな成長でした」
こう語る花岡氏に、小林氏も続く。
「校長先生は、私たちの挑戦をすべて、面白がってくれるんです。そんな校長先生の姿をみているので、私たち教員も、『子どもたちの挑戦にダメ出しするのでなく背中を押せる存在になりたい』と自然に思えるようになりました」
もちろん、課題もある。花岡氏、小林氏は「グループ同士の情報共有や、同じグループの中で実践を見合い、話し合う場が足りなかったところが課題に感じています。今後に向け改善していきたいと思います」と口をそろえて言う。
とはいえ、「これまでの校内研究の常識を疑い、より良いものに変えていきたい」という北小学校の思いが多くの教育関係者の心に響いたのは、まぎれもない事実だ。
「校内研究は学校経営の一環であり、教職員としての学びの根幹です。本校の教職員は、3年間にわたり、学校の中でお互いに成長しあいながら楽しい学びの場を創出し続けてきました。今回の研究で身につけた『主体的に学ぶ姿』が、児童に確実に伝わっていることを日々実感しています。本校で6年間学んだ子どもたちが、中学校に進学するとどのように成長していくのか。今後は中学校との連携も視野に入れながら、校内研究のあり方を考えていきたいと思います」(松原氏)
※それぞれの役職は取材当時
(企画・文:長島ともこ、注記のない写真:蕨市立北小学校提供)
東洋経済education × ICT編集部
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